- ビットコインのオプションは強気から弱気へと転じ、プットオプションが建玉をリードしている。
- トレーダーは下落リスク回避のためにプットオプションの購入を増やしており、8万5000ドルの権利行使価格付近で活発な取引が行われている。
- ビットコインの価格は10月8日以降、25%以上下落し、約9万1000ドルとなっている。
ビットコイン(BTC)オプションは昨年までの超強気な賭けから一転、完全に180度の方向転換を遂げ、弱気姿勢に転じた。
昨年末以降、トレーダーらはデリビット(Deribit)で10万ドル、12万ドル、14万ドルの行使価格のコールオプションを買い漁り、強気相場を積極的に追い求めていた。最近までは、14万ドルのコールオプションがデリビットで最も人気が高く、未決済建玉つまり有効な契約のドル価値は常に20億ドル(約3100億円、1ドル=155円換算)を超えていた。
しかし状況は一変した。14万ドルのコールの建玉残高は16億3000万ドル(約2526億5000万円)に減少した一方、8万5000ドルのプットが20億5000万ドル(約3177億5000万円)の建玉残高で首位に立った。8万ドルと9万ドルのプットも14万ドルのコールを上回る規模となっている。
明らかに市場のセンチメントは決定的に弱気に転じた。CoinDeskのデータによれば、10月8日以降、ビットコイン価格は25%以上急落して約9万1000ドルまで下落したため、この変化は当然と言える。
プットオプションは購入者に、原資産を後日、予め定められた価格で売却する権利(義務ではない)を与える。プットの買い手は暗に市場を弱気に見ており、予想される価格下落から利益を得たり、ヘッジしたりすることを目指している。逆にコールの買い手は強気だ。

上のチャートは、さまざまな行使価格におけるBTCオプションの建玉分布を示している。明らかに、建玉は低い行使価格のプット、いわゆるアウト・オブ・ザ・マネーのプットオプションに集中している。
アクティブなコールの数は依然としてプットよりも多いが、後者は大幅なプレミアム(またはスキュー)で取引されており、下落懸念を反映している。
デリビットの最高商業責任者、ジャン-ダヴィッド・ペキニョ(Jean-David Péquignot)氏はメールで次のように述べた。「オプションは年末に向けた警戒感を反映している。8万4000ドルから8万ドルの短期プットが本日最大の取引量を記録した。短期インプライドボラティリティ(IV)は約50%で推移し、カーブは下落リスク対策のための重いプットスキュー(+5%~6.5%)を示している」。
分散型取引所(DEX)のDerive.xyzのオプション取引も同様の弱気相場を示しており、30日スキュは-2.9%から-5.3%へ低下した。これはトレーダーが下落への保険(プットオプション)に対する支払いを増やしている証拠だ。
「年末に向けて、12月26日満期のビットコインプットオプションに集中した買いが形成されている。特に8万ドルの行使価格帯で顕著だ」とDerive.xyzのリサーチ部門責任者であるショーン・ドーソン(Sean Dawson)氏はCoinDeskに語った。
アメリカの雇用市場の回復力への懸念が続き、12月の利下げ確率がほぼ五分五分に低下している現状では、年末にかけて強気姿勢を維持する理由となるマクロ環境はほとんど存在しないとドーソン氏は説明した。
次はどうなるのか
抵抗が最も少ない方向は下落に見えるが、テクニカル指標が売られすぎを示し、センチメントが極端な弱気状態にあることから、売り圧力はまもなく勢いを失う可能性がある。
「『恐怖と強欲指数』が15前後で、RSI(相対力指数)が30近く(売られすぎだが極端ではない)で推移する中、過去1週間で大口のウォレット(1000BTC超)が顕著に増加しており、割安水準での賢明な資金の蓄積を示唆している」とペキニョ氏は述べている。
「全体として、短期的な下落懸念は正当化され、当面は下落が最も抵抗の少ない道筋だ。しかし、このような極端な状況は、過去の暗号資産市場において大胆な行動を取った者に報いてきた」と彼は付け加えた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:From $140K Call to $85K Put: Bitcoin Positioning Reverses Completely


