- 過去5年以内にコインを移動した中期保有者が、ビットコインの最近の下落を牽引していると、資産運用会社ヴァンエックは述べている。
- 長期保有者は安定している一方、建玉と資金調達率の水準は先物ポジションのリセットを示唆していると、同社は指摘。
- 他のアナリストらは、ビットコインへの追加的な圧力として、OG(初期購入者)による売却、10月のレバレッジ解消、オフショア取引のボラティリティを挙げている。
資産運用会社ヴァンエック(VanEck)のレポート「Mid-November 2025 Bitcoin ChainCheck」によると、ビットコイン(BTC)の直近の下落は、長期保有のクジラではなく、中期保有者によって牽引されている。
ヴァンエックは、コインを最後に移動したのが5年以内だったウォレットが最近の売却の大部分を占めている一方、最も古いコホート(集団)はセンチメントの弱まりにもかかわらず、「驚くほど安定」していると述べた。同社はまた、最後に移動したのが5年超前のコインがこのコホート内で成熟しており、過去2年間で約27万8000BTC増加し、これは長期的な確信が維持されていることを示していると述べた。
ビットコイン下落の原因
同レポートは、ビットコインが数カ月ぶりの安値付近で取引されている中で発表された。CoinGeckoによると、ビットコインは協定世界時(UTC)11月20日21時15分時点で8万6696ドル前後で、過去24時間で3.2%下落し、10月6日に記録した史上最高値12万6080ドルから31.2%下落。アナリストらは、この広範な下落の原因を、強制的な清算、長期保有者による売却、オフショアデリバティブ市場全体のボラティリティの上昇と関連づけている。
「カタリストはいくつかあったが、最大の要因は『OG(初期購入者)』による長期的な売却、不透明な経済情勢、10月10日の大規模なレバレッジ解消イベントであると思われる」とCoin BureauのCEO、ニック・パックリン(Nic Puckrin)氏はユーロニュース(Euronews)に語った。同氏は、古くからの大口保有者が「数週間前から売却を続けており」、それが「市場に大量の供給」をもたらしたと述べた。
サセックス大学の金融学教授、キャロル・アレクサンダー(Carol Alexander)氏は、ユーロニュースに対し、ビットコインの値動きは、オフショアプラットフォームにおける積極的な取引行動も反映していると語った。同氏は、プロのトレーディング会社は「スプーフィングやラダーリングと呼ばれる」オーダーブック戦略を採用しており、「(価格が)急騰することだけを気にしている」と付け加えた。
ヴァンエックは、コインを最後に移動したのが3~5年前の層は、アドレス変更に伴い過去2年間で32%減少し、同社はこの傾向を10年保有者のキャピチュレーション(投げ売り)ではなく、サイクルトレーダーの売買によるものとしている。
投機的ポジションのリセット
同レポートでは、投機的ポジションのリセットも強調されている。ビットコイン永久先物の建玉は10月9日以降、ビットコイン建てで20%、米ドル建てで32%減少し、資金調達率は過去にレバレッジが解消された時期と同水準にまで押し下げられた。100~1000BTCを保有する小規模ウォレットの残高は、最大の「クジラ」コホートがポジションを縮小する中で、6カ月で9%、1年で23%増加した。
ヴァンエックは、長期保有者の安定性、コホートのローテーション、先物市場の投げ売りが相まって、ビットコインは「リセット」状態にあり、この状態は歴史的に戦術的な反発の前兆となってきたと述べた。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Midjourney / Modified by CoinDesk
|原文:Bitcoin Sell-Off Led by Mid-Cycle Wallets While Long-Term Whales Hold Firm: VanEck


