- フィナンシャル・タイムズ(FT)は26日、ビットコインの最近の価格低迷を機に、このセクターに関する否定的な記事を3本掲載した。
- 各記事は「ビットコインは通貨として機能しない」「ストラテジーはデススパイラルに陥っている」「暗号資産を保有する企業は消滅する」と主張している。
- 逆張り投資家は、FTの記者が10年以上前からこのセクターに対して公然と否定的であり、26日の「ウイニングラン」が底打ちの兆候である可能性があることに希望を抱くかもしれない。
打撃を受けたビットコイン(BTC)強気派は、最近の35%の価格急落後に、いつもの面々からこのセクターの訃報が殺到していることに勇気づけられるだろう。
実際、フィナンシャル・タイムズ(FT)は26日、Webサイトの「ファーストビュー」にビットコイン関連の記事を3本掲載した。英国を拠点とする同紙は10年以上にわたり、このセクターに対して明らかに熱意を欠き、あからさまな敵意さえ示してきた。こうした懐疑的な見方は、今年前半、FTのあるコラムニストがビットコインの希少性を自身の歯に例えたことでおそらく頂点に達した。
ウイニングラン
26日の最初の記事「ビットコインを通貨として使うことの致命的な欠陥」は、ビットコインが35%下落した際に、実質的に年率900%のインフレ率を経験したと主張。ビットコインは供給量が固定されており、需要が崩壊しても供給量が縮小するのではなく増加するだけであるため、通貨として機能することは決してないと論じた。パンデミック後の時期に見られたように、インフレ抑制のために通貨供給量を削減できる中央銀行とビットコインを対比させた。暗号資産(仮想通貨)の構造的欠陥は、供給の下方弾力性の欠如にあると主張した。
2つ目の記事「無限のマネーグリッチ、算術との遭遇」は、ストラテジー(Strategy)を標的にし、重力と数学的確実性の遭遇と表現した。ビットコイン購入のために株式や債券をプレミアム価格で発行するというマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏のモデルが今や露呈し、破綻していると主張。ビットコイン現物ETF(上場投資信託)によりストラテジー株のプレミアムは消失し、指数から除外される可能性がある。同記事によると、これは強制的なビットコイン売却のデススパイラルを引き起こすが、CoinDeskの読者にはこれが誤りだと分かるだろう。上昇局面ではこの錬金術が機能したが、下降局面では算術が支配するとFTは報じた。
「暗号資産保有者、価格下落の中でトークンを投げ売り」と題した3つ目の記事は、ストラテジーと同じ戦略を取ろうとするデジタルトレジャリー企業にまで批判を拡大。多くの企業が現在、保有する暗号資産の時価総額を下回る価格で取引されており、自社株買いや債務返済のためにトークンを売却している。FTはこれを一方向の賭けと捉え、こうした企業の大部分が消滅する可能性が高いと警告した。だが、多くのビットコイン強気派はこの状況を歓迎するだろう。かつて華やかだったスタートアップを支援する経営陣、銀行家、取締役会ではなく、ビットコイン自体に資金が再び流入することになることを意味するからだ。
視野を広げると、ビットコインが過去5年間で350%超上昇しているにもかかわらず、FTが26日にウイニングランを行った。皮肉なことに、英国政府が財政基盤強化を図ろうと、国民に対して増税を再び提案したタイミングで、この報道が流れた。
「タイムズ 2009年1月3日 首相、銀行に対する2度目の救済措置の瀬戸際(The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks)」というメッセージが、ビットコインの創始者サトシ・ナカモトによって最初のブロックに埋め込まれた。もしサトシが今生きていたら、今日のブロックには「首相、新たに260億ポンド(約の5兆3820億円、1ポンド207円換算)の増税の瀬戸際」と埋め込まれるかもしれない。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Matthew Guay/Unsplash
|原文:Crypto Bottoming Signs? FT Drops Trifecta of Bitcoin Gloom on Wednesday


