- 過去の30%下落ではドミナンスは急上昇したが、今回は低下し、回復もわずかなものだ。
- 過去の下落時、例えば「関税ショック」では58%から65%へ、2024年の円キャリー巻き戻しでは56%から60%へ上昇した。
- 今回はビットコインは暗号資産全体よりも大きな打撃を受けた可能性を示している。
ビットコイン(BTC)は現在のサイクルでこれまでに3回、30%を超える下落を記録している。直近の下落は、ビットコインドミナンスの動きが特徴的──ドミナンスは価格下落時には通常は上昇するが、今回は低下した。
ビットコインは先週末に8万ドル近くまで下落し、10月に記録した12万6000ドル超の史上最高値から36%の下落となった。下落は、暗号資産(仮想通貨)市場全体に広がったデレバレッジの一環で、アルトコインが相対的な底堅さを見せたことが特徴となった。
ビットコインドミナンス(暗号資産全体の時差総額に占めるビットコインの時価総額の割合)は本来、市場全体が下落している局面では上昇しやすい。ビットコインよりもリスクが高いと見なされるトークンの方が、ビットコインよりも早く、大幅に下落する傾向があるためだ。
10月の局面では通例通りの動きとなったが、11月に入ってからはドミナンスは低下した。
違いは、過去2回の下落局面を見るとより明確だ。2月から5月にかけての「関税ショック(tariff tantrum)」では、ビットコインドミナンスは58%から65%へ上昇した。2024年8月の円キャリー・トレード巻き戻しでは、11月にかけて56%から60%まで上昇した。
今回のビットコイン下落は、下落率はこれらと同程度だったものの、ドミナンスの上昇幅は明らかに小さかった。これは、暗号資産市場全体よりもビットコインが大きな打撃を受けた可能性を示している。
さらに今回は、価格が下落するスピードもかなり速かった。高値から安値までの期間はわずか47日で、関税ショック時の77日や、2024年の146日と比べると短い。これが市場心理(恐怖感)をさらに強めた。
こうした要素を総合すると、今回の調整局面は、同じサイクル内の過去2回とは異なるパターンを示していることがわかる。ビットコインが典型的な4年サイクルの終盤にある中で、問題は、ドミナンスの低下がさらなる弱さを示唆しているのかどうかだ。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ビットコインドミナンスとビットコイン価格(TradingView)
|原文:Bitcoin Dominance Defies Pattern During 30% Decline, Dropping Instead of Climbing


