- 香港最大の認可暗号資産取引所であるハッシュキーは、2024年の取引高が6384億香港ドルに達し、前年比で倍増したと報告した。
- 市場での支配的地位にもかかわらず、ハッシュキーの低手数料戦略は2024年に1億5100万米ドル超の純損失をもたらした。
- 同社のトークン化やWeb3イベントへの多角化は、まだ収益に大きな影響を与えていない。
ハッシュキーは香港最大の認可暗号資産(仮想通貨)取引所として台頭したが、そのIPO申請書類は同社がその地位を得るために多大な代償を払っていることを明らかにしている。
香港証券取引所に12月1日に提出された書類によると、ハッシュキー(HashKey)は2024年に6384億香港ドル(約12兆7680億円、1香港ドル=20円換算)の取引を処理した。これは前年の約2倍で、香港のプラットフォームが機関投資家と個人投資家の双方で規模を拡大した結果だ。
同社の手数料収入は依然として0.1%を下回っており、収益よりも市場シェアを優先する価格戦略を取っている。ハッシュキーは香港市場の約75%を占める一方、激化する手数料競争が2024年の11億8000万香港ドル(約236億円)以上の純損失を招いた。これは同社のIPOを評価する投資家にとって注目すべき点となるだろう。
より幅広い資産を提供するグローバル向けプラットフォームとして立ち上げたハッシュキーのバミューダ取引所では、取引高が2024年前半の約230億ドル(約3兆5650億円、1ドル=155円換算)から1年後に約14億ドル(約2170億円)へと急落した。提出書類では、この減少は2025年末までのオン・オフランプ機能の不足とマーケティング戦略の後退が原因とされている。
ハッシュキーは事業多角化のためトークン化、ステーキング、Web3イベントに注力してきたが、IPO申請書によればこれらの収益源は依然として意味を成す水準には程遠い。
トークン化の収益は2024年にはわずか700万香港ドル(約1億4000万円)に留まり、2025年上半期には110万香港ドル(約2200万円)に減少した。
Web3イベント(主に春に香港で開催したカンファレンス)は2024年に3710万香港ドル(約7億4200万円)、2025年上半期には2370万香港ドル(約4億7400万円)の収益をもたらした。これは取引所以外の収益源の中では比較的大きいものの、中核事業である取引所事業と比べると規模は小さい。
提出書類は、市場で大きな牽引力を持つ多様化した取引所像を示しているが、ビジネスモデルは依然として持続可能な基盤を模索中だ。
ハッシュキーの香港市場における支配的地位は、同社のプラットフォームのリーチを裏付けているが、手数料の薄さ、新規事業の規模の小ささ、そしてオフショア活動の縮小は、上場を取り巻く財務的なプレッシャーを浮き彫りにしている。これらを総合して今後の有望な道筋と見なせるかどうか、その判断は投資家に委ねられている。
ハッシュキーはCoinDeskの親会社であるブリッシュ(Bullish)の競合企業だ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:HashKey
|原文:HashKey Leads Hong Kong’s Crypto Market as Losses Deepen Ahead of IPO


