- ビットコイン強気派は、利下げによって債券利回りとドルが下落することを期待しているが、現在の市場シグナルはそれを阻んでいる。
- FRBによる利下げが予想されているにもかかわらず、財政債務懸念とインフレの影響で、10年国債利回りは依然として4%を超えている。
- ドル指数の堅調さは、市場ダイナミクスの変化を示唆している。
ビットコイン(BTC)の強気派は、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが債券利回りとドルの持続的な低下を促すと期待しているが、債券市場からのシグナルは異なる様相を呈している。
FRBは12月10日に政策金利を25ベーシスポイント引き下げ、3.5%~3.75%の範囲にすると予想されており、昨年9月に始まったいわゆる緩和サイクルを継続する見込みだ。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)を含む複数の投資銀行は、来年には金利が3%に低下すると予想している。
金利低下の見通しは通常、国債利回りを圧迫し、ドル指数(DXY)を下落させる。これらはいずれも、暗号資産(仮想通貨)を含む金融市場におけるリスクテイクを後押しする要因となる。しかし、そうした動きは見られない。
10年国債利回りは、これまでと同じレンジ内、4%を超える水準で推移している。FRBが2024年9月中旬に最初の利下げを行って以来、50ベーシスポイント上昇しているほどだ。

米国債利回りの高止まりは、財政債務への継続的な懸念と債券供給過剰への期待、そして持続的なインフレへの懸念が重なっていることが原因である可能性が高い。
フィデリティ(Fidelity)は、「連邦政府の債務が深刻化するにつれて、債券発行額が増加し、市場における国債供給が増加する。買い手からの需要が相応に増加しなければ、この追加供給は国債利回りの上昇と価格の下落を引き起こす可能性がある」と説明している。
この上昇圧力に拍車をかけているのは、日本銀行による利上げへの新たな期待と、日本国債利回りの継続的な上昇だ。
2010年代を通して、そしてCOVID-19の流行期に見られた超低水準の日本国債利回りは、世界的な下押し圧力となり、多くの先進国の借入コストの抑制に寄与した。
ドル指数(DXY)は利下げ期待への感応度が低下している。これは市場動向の変化を反映しており、こうした緩和シグナルは完全に織り込まれているのだ。さらに、アメリカ経済の相対的な堅調さもドルを支えており、金融緩和への期待にもかかわらず大幅な下落を防いでいるとみられる。
今年4月に始まり、主要法定通貨に対するドルの価値を示すドル指数の下落トレンドは、9月に96.000付近で失速した。その後、指数は反発し、100.00を数回突破している。
債券利回りとドル指数の堅調さを合わせると、市場行動の変化がわかる。FRBのハト派的なシグナルが利回りとドルを押し下げ、ビットコインなどのリスク資産を押し上げるという、従来型の単純な戦略はもはや通用しないかもしれない。油断は禁物だ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Attention Bitcoin Bulls: The U.S. 10-Year Yield Isn’t Budging Despite Fed Rate Cut Hopes


