- グラスノードの週刊ニュースレターによると、ビットコインの複数のオンチェーン指標は、2022年の弱気相場の開始時に見られた状況に類似していることが示されている。これには、大口の買い手のストレスの高まりや、含み損状態にある供給量の急増が含まれる。
- オフチェーン指標は、需要の軟化とリスク選好の減退を示しており、ETFの流入額の減少や現物取引量の減少が見られる。
グラスノード(Glassnode)の最新の週次レポートは、現在の市場状況と、いわゆる暗号資産(仮想通貨)の冬として知られる2022年の弱気相場の初期段階との類似点を強調している。
ストレスを示す最初の指標は、大口の買い手のキャピチュレーション(投げ売り)リスクが高まっていることだ。大口の買い手が保有する供給量のコストベースを追跡する、グラスノードの供給量分位コストベースは、11月中旬以降、現物価格が0.75分位を下回り、9万6100ドル付近で取引されていることを示している。これにより、ビットコイン(BTC)供給量の25%超が含み損状態となった。0.75分位を下回る同様の下落は、2022年の弱気相場の始まりを示していた。

同時に、7日単純移動平均(SMA)で見ると、損失状態にある総供給量は現在710万BTCに達しており、これは2022年初めに見られた500万~700万BTCのレンジの上限だ。
こうした圧力にもかかわらず、実現時価総額の純増減ベースで見ると、ビットコインへの資金流入は続いており、月間約86億9000万ドル(約1兆3470億円、1ドル155円換算)に達している。だが、グラスノードによると、この額は夏のピークである月間643億ドル(約9兆9665億円)を大きく下回っている。

オフチェーンのトレンドは、投資家の意欲のさらなる衰えを示している。ETF需要は引き続き弱まっており、ブラックロック(BlackRock)のIBITは6週連続の資金流出を記録し、2024年1月の上場以来最長の連続流出となった。過去5週間の償還による資金流出額は、現在27億ドル(約4185億円)を超えている。
現物市場の活動も悪化している。グラスノードによると、累積出来高デルタ(CVD:Cumulative Volume Delta)はマイナスに転じており、バイナンス(Binance)のCVDは継続的にマイナス傾向にある。一方、コインベース(Coinbase)のプレミアムは長期にわたるマイナスの後、最近プラスに転じたが、再びマイナスに転じる見込みだ。
デリバティブのデータは、リスク選好の低下を裏付けている。建玉は11月から12月にかけて減少しており、特に10月10日のフラッシュクラッシュによる清算イベント以降、リスクを取る意欲が低下していることを示唆。永久先物の資金調達レートは、一時的にマイナスとなる期間もあるものの、概ね中立的で、資金調達プレミアムは著しく低下しており、これはよりバランスが取れた投機的な動きが少ない環境を示唆している。
グラスノードはまた、トレーダーが来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前に、力強いブレイクアウトを見据えたポジションを取っていないと指摘。オプション市場では、上昇を追いかけるのではなくむしろ売る慎重な姿勢が取られていると、同社は見ている。先週前半に、ビットコインが8万ドルに近づく中で、プットオプションの買いが優勢となった。その後価格が安定すると、投資家の懸念が和らぎ、資金の流れはコールオプションへと移った。
|翻訳・編集:廣瀬優香
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|原文:Bitcoin Market Echoes Early 2022 as Onchain Stress Mounts: Glassnode


