トークン化された米国株の規制をめぐる議論が激化:HSBC
  • トークン化された米国株の規制をめぐる政策論争が最近激化しており、分散型金融(DeFi)が標的となっているとHSBCは述べている。
  • 同行は、シタデルがアメリカ証券取引委員会に対しDeFiプロトコルに取引所と同様の義務を適用するよう圧力をかけており、免除が認められれば脆弱な並行市場が出現すると警告していると述べた。

HSBCが12月8日に発表した報告書によると、トークン化された株式の市場をどう規制すべきかという議論が激化している。ウォール街の伝統的金融(TradFi)企業と暗号資産(仮想通貨)企業の経営陣が、分散型金融(DeFi)取引インフラを従来の取引所と同様に扱うべきかどうかで対立しているのだ。

トークン化とは、株式や債券から不動産、プライベートエクイティ、さらには美術品に至るまで、現実世界の資産の所有権をブロックチェーン上に記録されたデジタルトークンに変換するプロセスだ。

同行は、アメリカ証券取引委員会(SEC)の投資諮問委員会で最近行われた議論で、オンチェーン株式取引の監督方法について意見が分かれたことを指摘した。

報告書によると、TradFi大手のシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)は、DeFiに対するより厳しい姿勢を推し進めていることで、暗号資産業界関係者から批判を受けている。コインベース(Coinbase)のグローバル規制政策担当バイスプレジデント、スコット・ボーゲス(Scott Bauguess)氏は、分散型取引モデルに合わせた規則の必要性を主張した。

規制当局側では、SECのポール・アトキンス(Paul Atkins)委員長が、イノベーションを可能にするコンプライアンス遵守の道筋の必要性を改めて強調した一方、キャロライン・クレンショー(Caroline Crenshaw)委員は、トークン化された株式に関連するリスクへの懸念を表明した。

アナリストのダラグ・マーハー(Daragh Maher)氏とニシュ・シングラ(Nishu Singla)氏によると、この騒動の中心となっているのは、シタデルがSECに送った13ページにわたる書簡で、多くのDeFi取引プロトコルが取引所の定義を満たしており、それに応じた規制を受けるべきだと主張している。

シタデルは、DeFiに対する広範な適用除外は規制の抜け道を残すことになり、従来の取引所よりも投資家の保護が弱い「影の市場」を生み出す可能性があると指摘した。

SECが最終的にどこに線を引くのかは依然として不透明だとアナリストらは述べている。

アトキンス委員長はトークン化をアメリカ資本市場の近代化の一環と位置付けているが、SECがアメリカ向けのオンチェーン株式市場が従来の取引所よりも大幅に弱い保護の下で運営されることを許可する可能性は低いとアナリストたちは見ている。

HSBCによると、考えられる手段の一つは「サンドボックス」方式で、規制当局が特にアメリカ向けの活動や特定可能なチームに関する境界を検証する間、トークン化された株式プラットフォームを制約された条件下で運用できるようにするというものだ。

HSBCは、時間の経過とともに規制圧力が高まり、完全に許可され、かつ完全に規制されたブロックチェーン上で取引されるトークン化された株式に有利に働く可能性があると述べている。

しかし、報告書は、TradFi、DeFi、そして規制当局の間で広く一致している点が一つあると付け加えている。それは、トークン化が現在は小規模ながら今後大きく成長すると見込まれていること、そして今まさに起きている激しい対立そのものが、この分野の重要性が急速に高まっていることを示しているということだ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Regulatory Battle Over Tokenized U.S. Stocks Escalates, HSBC Says

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