- テザーは、ユーザーが自身の端末上でフィットネスや健康データを非公開で追跡できるAI支援アプリ「QVAC Health」を発表した。
- 同社によれば、このアプリは情報をオフラインで暗号化して保管し、商用サーバーを回避することでデータプライバシーを確保するという。
- この取り組みは、テザーが金融分野の基盤を超えた分散型技術とAIへの事業拡大の一環だ。
テザー(Tether)は時価総額1860億ドル(約28兆8300億円、1ドル=155円換算)のステーブルコイン「テザー(USDT)」を発行する企業だが、暗号資産(仮想通貨)の枠を超えて、プライバシー重視の健康管理アプリを展開している。
同社は12月10日、自社AI開発プラットフォーム上で構築されたアプリ、「QVAC Health」を発表した。このアプリは、ユーザーが複数のデバイスでフィットネス、栄養、生体データをトレースし、管理できるように設計されている。
同社によれば、このアプリは歩数計、睡眠トラッカー、ワークアウトアプリなどの健康データを監視可能にし、商用サーバーを経由せず、広告目的でデータを収集されることもなく、個人のデバイス上でオフラインかつ暗号化された状態で保持できるという。
テザーのパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEOは「QVAC Healthは、プライバシー保護型のローカルインテリジェンスへの当社の取り組みを体現している」と述べた。「市場で最高のハードウェアを利用することと、プライバシーを維持することのどちらかを選ばされるべきではない。我々は大手テクノロジー企業のエコシステム間の壁を打ち破り、ユーザーが自分の健康状態を包括的に把握できるようにする」。
この動きは、テザーが金融や暗号資産を超えて分散型技術インフラとAI(人工知能)分野へ進出する最新の試みだ。同社は分散型AIプラットフォーム「QVAC」を構築し、中央集権的なクラウドインフラを迂回してデバイス上で完全に動作するエージェントやアプリケーションを展開している。
今週初め、テザーはイタリア企業のジェネレーティブ・バイオニクス(Generative Bionics)の実施した7000万ユーロ(約126億円、1ユーロ=180円換算)の資金調達ラウンドへ出資した。同社は高度なAIを搭載したインテリジェントな人型ロボットを開発しており、早ければ来年にも産業分野での導入を計画している。
これに先立ち、テザーは脳コンピュータインターフェース企業のブラックロック・ニューロテック(Blackrock Neurotech)の株式の過半数を2億ドル(約310億円、1ドル=155円換算)で取得している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Tether Rolls Out Privacy-Focused Health App as Expansion Into AI Accelerates


