- FRBの利下げはビットコインの価格に大きな影響を与えなかった。価格は依然として方向性を見出せていない。
- ビットコインのMACDヒストグラムは上昇の勢いを示唆しており、ドル指数の動きは下落を示している。
- ETFへの資金流入は引き続き期待外れだ。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)はビットコイン(BTC)価格に意味のある影響を与えなかった。FRBは予想通り25ベーシスポイントの利下げを行ったが、タカ派的なフォワードガイダンスを表明したとされている。それでもなお、ドルは売られている。
こうした状況の中、BTCは方向性を見失った値動きでトレーダーをうんざりさせ続けている。
日足チャートの構図はFRBの発表前からほとんど変わっておらず、価格は依然として大きな下降トレンドの中にある、逆トレンドのミニ上昇チャネルに留まっている。
経験豊富なテクニカルトレーダーなら誰でも、今や戦略はシンプルだと指摘するだろう。弱気トレンドラインを上抜ければ、過去最高値からの下落トレンドが終了したことを示すシグナルとなる。逆に、ミニ上昇チャネルを下抜ければ、より広範な下降トレンドが強化され、損失が拡大する可能性がある。

どちらの方向に向かうのだろうか。現時点では強気の見通しが有力だ。中長期の勢いを測るためパラメータ(50,100,9)に設定したMACD(マックディー:移動平均収束拡散)ヒストグラムが、ゼロラインを上抜けしようとしており(グリーンシグナルの点灯)、プラス方向へのクロスオーバーは強気のモメンタムを示す。
ビットコインにとって最大の敵であるドル指数(DXY)は、FRB会合以降、打撃を受けている。中央銀行のタカ派的な姿勢が弱まったためだ。DXYは11日に98.13まで下落し、10月17日以来の安値を記録した。直近では98.36付近で推移している。ドル安は暗号資産を含むリスク資産にとって好材料となる傾向がある。

さらに重要なのは、DXYのMACDヒストグラムがマイナスに転じ、勢いが弱気方向に転換したことだ。
ナスダック(Nasdaq)は11月の下落後、持ち直し、現在では広く追跡されている50日、100日、200日単純移動平均線(SMA)を上回って推移しており、暗号資産(仮想通貨)市場に強気のシグナルを送っている。また、アメリカ上院の暗号資産市場構造に関する強気な見方が行き詰まっているとの報道にもかかわらず、BTC価格は横ばいを維持しており、BTCの売り手は勢いを失っているように見える。
BTC価格が上抜けた場合、50日、100日、200日SMAと一目均衡表によって示される9万7000ドルから10万8000ドルの間の複数の抵抗線が焦点となるだろう。
とはいえ、ETF(上場投資信託)への資金流入は依然として懸念材料だ。以前指摘したように、過去1カ月で5億ドル(約775億円、1ドル=155円換算)を超える純流入額を記録した日は1日もない。価格は11月20日以降安定しているものの、SoSoValueのデータによると、11月最終週以降の累計純流入額はわずか2億1900万ドル(約339億4500万円)にとどまっている。これは、10月から11月初旬にかけて見られた数十億ドル規模の償還額と比較すると、微々たる数字だ。
ナスダックが主要株価指数を上回って推移していることは、BTC強気派にとっては朗報だが、ビットコインとハイテク指数の相関性は不均衡になっている。ナスダックが下落するとビットコインは急落するが、ナスダックが上昇してもビットコインの上昇幅は小幅にとどまる。
そのため、BTCがミニ上昇チャネルを下回る弱気相場に陥る可能性を完全に排除することはできない。そのような動きは、8万ドル付近のサポートラインを露出させるだろう。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Boring Bitcoin’s Green Light Moment Incoming?


