- 暗号資産(仮想通貨)企業のCircle(サークル)、Ripple(リップル)、Fidelity Digital Assets(フィデリティ・デジタル・アセッツ)、BitGo(ビットゴー)、Paxos(パクソス)が米連邦政府認可の信託銀行となるために、通貨監督庁(OCC)から条件付き免許を取得した。
- この動きにより、米国で初めて国法信託銀行免許を取得したアンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)に続く企業が誕生する見通しだ。
- Coinbase(コインベース)を含む多数のステーブルコイン発行体や暗号資産企業が、ジーニアス(GENIUS)法成立後、米連邦政府による監督を申請している。
5つのデジタル資産企業が12月12日、米通貨監督庁(OCC)から国法信託銀行となるための条件付き許可を受けた。これは、米ドル連動型ステーブルコイン発行体を連邦政府の規制監督下に置くための重要な一歩となる。
ブロックチェーン企業のリップルと、 サークル傘下のFirst National Digital Currency Bank(ファースト・ナショナル・デジタル・カレンシー・バンク)がこのリストに含まれている。ビットゴー、フィデリティ、パクソスも、これまで州認可の下で運営されていたが、条件付きでの連邦認可に転換される予定である。
OCCは、銀行および信託銀行を認可する唯一の連邦機関であり、今回の複数の認可は、暗号資産バンキングにおける大きな転換点となる可能性がある。
ドナルド・トランプ大統領の政権発足以来、同大統領が任命したジョナサン・グールド(Jonathan Gould)氏が率いるOCCは、暗号資産に抵抗的な姿勢から友好的なアプローチへと転換している。
グールド氏は声明の中で、「OCCは、連邦銀行システムが金融の進化に遅れを取らず、現代経済を支援できるよう、金融サービスに対する従来型および革新的なアプローチの両方に道筋を提供し続ける」と述べた。
新たに認可された信託銀行が当局の期待に応えることができれば、カストディ業務を含む受託業務が認められる約60の規制対象機関に恒久的に加わることになる。
国法信託銀行(暗号資産銀行として最初に認可されたアンカレッジ・デジタルもこのカテゴリーに含まれる)は、事業活動に一定の制限があるため、OCC監督下にある、より多くの国法銀行と同じ預金および融資サービスを提供することはできない。
「暗号資産業界にとって『重大なニュース』」:リップルのガーリングハウスCEO
リップルのBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)CEOはXへの投稿で、OCCの決定を「重大なニュース」と評し、同社が発行する13億ドル(約2000億円、1ドル=156円換算)規模のステーブルコイン「RLUSD」にとって「画期的な一歩」だと述べた。また銀行業界団体の「反競争的戦術」を非難した。
「暗号資産が同じルールで動いていないと文句を言ってきたが、ここにOCCの監督と基準の直接の対象となり、コンプライアンス・信頼・イノベーションを優先し、消費者の利益に資する暗号資産業界が誕生した」とガーリングハウス氏は述べ、「一体何をそんなに恐れているのか?」と問いかけた。
780億ドル規模のステーブルコイン、USDコイン(USDC)を発行するサークルはプレスリリースで、国法信託銀行免許が「USDC準備金の安全性と規制監督を強化すると同時に、サークルが機関顧客向けに受託型デジタル資産カストディおよび関連サービスを提供することを可能にする」と表明した。
38億ドル規模のPYUSD、およびコンソーシアムの支援を受けた14億ドル規模のUSDGを発行するパクソスは、連邦規制下のプラットフォームによって、「企業が明確性と確信を持ってデジタル資産の発行、カストディ、取引、決済を行うことができるようになる」と述べた。
特筆すべきは、パクソスが2015年よりニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の認可下で運営され、2020年に初めて連邦認可を申請した点である。
ビットゴーのMike Belshe(マイク・ベルシェ)CEOは、この進展について「暗号資産に対する戦争の公式な終結と、銀行業界における次なるイノベーション時代の幕開けを意味する」と述べ、「我々は規制統合の時代に入り、改善は今後も急速に進むだろう」と付け加えた。
ビットゴーは、トランプ一族と密接な関係を持つ暗号資産プロジェクト、World Liberty Financial(ワールド・リバティ・ファイナンシャル)のデジタルドルトークン「USD1」の発行元である。
暗号資産業界は長年、米国においてバンキングの問題に直面してきた。業界は、規制当局や大手金融機関が業界企業や経営陣を組織的にデバンキングしていると非難し、長期にわたって対立してきた。トランプ政権は、暗号資産企業を不利に扱う政策やバンキング活動を覆そうと努めてきた。
OCCは11日、デバンキングに関する報告書を発表。最大手9行すべてが関与しており、合法的な企業顧客との銀行取引関係を断った金融機関は処罰の対象となり得ると述べた。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:リップルのブラッド・ガーリングハウスCEO(Jesse Hamilton/CoinDesk)
|原文:Five Crypto Firms Win Initial Approvals as Trust Banks, Including Ripple, Circle, BitGo


