通貨安でゴールドとシルバーに輝き──ビットコインは取り残されている

ビットコインの価格は10月の最高値から30%下落したが、ゴールド（金）とシルバー（銀）は上昇している。
アナリストは、ビットコインの下落はリスク資産との関連性と長期保有者による構造的な売りに起因していると示唆している。
過去の傾向から判断すると、ビットコインはゴールドの高値後に上昇する可能性があり、2026年には金に追いつく可能性もある。

12月17日にビットコイン（BTC）が9万ドルで明確に拒絶されたことは、投資家にとって貴重な教訓となった。通貨の価値が下落する局面での真の勝者はゴールド（金）やシルバー（銀）といった貴金属であり、ビットコインは少なくとも現時点ではデジタルゴールドではないという事実を改めて思い知らされた。

10月にJPモルガン（JPMorgan）のアナリストは、ゴールドとビットコインの双方がいわゆる通貨安取引の恩恵を受けており、今後もその傾向が続くと指摘した。彼らはBTCがゴールドの動きに追随すると予測し、ゴールドに対するボラティリティ調整後の基準で16万5000ドルというBTCの目標価格を設定した。

しかし現時点では、この見解は実現していない。

ビットコインが8万8000ドル前後で低迷し、10月初旬の最高値から30%下落している一方で、ゴールドは1オンス4350ドル前後と史上最高値付近で取引され、シルバーは17日に66ドル超えの史上最高値を更新し、10月以降40%上昇している。

「ビットコイン支持者も、貴金属の強気相場が依然として勢いを増している事実を無視できない」と、バイトツリー（ByteTree）の創業者チャーリー・モリス（Charlie Morris）氏は述べた。

なぜBTCは出遅れているのか

ビットコインの現在の弱さは、リスク資産との連動性に起因するとモリス氏は17日のレポートに書いている。株価指数が史上最高値付近で推移する一方、株式市場で最も投機的な分野であるデータセンターやAI（人工知能）インフラへの投資に関連する銘柄や最近のIPO銘柄などは過去数週間で大幅な下落を経験した。

ビットコインがゴールドに対して相対的に弱い背景には、テクニカル的な要素もある。BTC対ゴールド比率は2024年末にすでにピークを迎え、50％超の下落で弱気相場に深く入り込んでいる。

8月、ビットコインのゴールドに対する価値は高値を更新できず、勢いの衰えを示した。その後、下落に転じて17日には新たな安値を記録、ほぼ2年ぶりの最安値水準となった。

長期保有者による構造的な売りもビットコインの弱さに拍車をかけている。K33リサーチ（K33 Research）のリサーチ責任者ヴェトレ・ルンデ（Vetle Lunde）氏によると、2年以上経過したUTXO（未使用トランザクション出力）に保管されているBTC供給量は持続的に減少しており、2024年以降で約160万BTCが再びアクティブになっている。また、Glassnodeのデータも長期投資家が保有分の売却を加速させていることを示している。

「これは長期保有者による大規模かつ持続的な売り圧力のオンチェーン上の証拠だ」とルンデ氏は述べた。