ステーブルコイン市場、2028年までに6000億ドルに成長する可能性:JPモルガン
  • テザー社のテザーとサークル社のUSDコインに牽引され、ステーブルコインの供給量は今年約1000億ドル増加して約3080億ドルに達したとJPモルガンは指摘した。
  • 同行のアナリストらは2028年まで着実な成長を見込んでいるが、その見通しは最も強気な予測を大きく下回っている。
  • レポートによると、取引需要が依然として優勢であり、決済の普及によりステーブルコインの供給量と比較して流通速度の方が大きく上昇する可能性があるという。

ウォール街の銀行JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)は、ステーブルコインの供給量が2028年までに5000億ドルから6000億ドル(約93兆円、1ドル155円換算)に達する可能性があると指摘した。これは、最も強気な2兆ドルから4兆ドル(約620兆円)という見通しを大きく下回っている。

JPモルガンによれば、ステーブルコインの需要は依然として主に暗号資産(仮想通貨)市場の話題であり、決済の話題ではない。

2025年のステーブルコイン市場は、テザー(Tether)社のテザー(USDT)やサークル(Circle)社のUSDコイン(USDC)に牽引されて約1000億ドル成長し、約3080億ドル(約47兆7400億円)に達したとJPモルガンは指摘した。

レポートによると、需要は主に暗号資産取引、およびデリバティブ取引や分散型金融(DeFi)における担保需要によって支えられている。デリバティブ取引のプラットフォームは永久先物取引の急増に伴ってステーブルコイン保有量を約200億ドル(約3兆1000億円)増加させている。

ニコラオス・パニギルツォグル(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストらは17日のレポートで、「ステーブルコイン需要の大部分は、デリバティブ取引やDeFiでの貸付・借入などの暗号資産取引を促進するための暗号資産エコシステムにおける現金または担保としての使用に由来している」と述べた。

アナリストらは、現在のところ決済は牽引要因としては比較的小規模であるものの、ステーブルコインベースの越境送金システムを試すプロバイダーが増えるにつれて伸びる可能性があると指摘した。

ただし、決済利用の拡大が必ずしもステーブルコイン流通量の増加を必要とするわけではないともレポートは指摘している。統合が進むにつれて、トークンの流通速度が上昇する可能性があるためだ。

銀行や決済ネットワークも、トークン化された預金やその他のブロックチェーンの取り組みを通じて、機関投資家の資金フローにおける自らの役割を守ろうとしている。また、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の取り組みは、民間ステーブルコインと競合する規制された代替手段をもたらす可能性があるとレポートは付け加えた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Ikechukwu Julius Ugwu/Unsplash
|原文:Wall Street bank JPMorgan says stablecoin market could grow to $600 billion by 2028

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