ブラックロックのビットコインETF、リターンはマイナスだが年間流入額は全ETFで6位に──「成熟の証」とブルームバーグETFアナリスト

ビットコイン(BTC)は調整局面が続いているが、ビットコインETFは意外な強さを見せている。

世界最大の資産運用会社BlackRock(ブラックロック)が提供するビットコインETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」は今年、年間リターンがマイナスになっているにもかかわらず、全ETFでの資金流入ランキングで第6位となり、金ETFを上回った。

ブルームバーグのシニアETFアナリスト、Eric Balchunas(エリック・バルチュナス)氏のX投稿によると、IBITの年初からの資金流入額は約250億ドル(約3兆9500億円)に達し、全ETFで第6位にランクインした。しかも、トップ10のみならず、トップ25でリターンがマイナスなのは、IBITのみだ。

一方、日本でも人気の金ETF「SPDRゴールド・シェア(GLD)」は、第8位にランクイン。リターンは64%超とIBITを大幅に上回ったが、資金流入額は210億ドル超とIBITを下回った。つまり、ビットコインETFは、現物価格が軟調にもかかわらず、金ETFを越える資金を集めた。

バルチュナス氏はこの状況についてXに「ベビーブーマー世代がHODL(長期保有)の手本を示している」と記し、「悪い年でも250億ドル集められるのなら、良い年にはどれほどの資金流入の可能性があるのだろう」と続けた。

「成熟した資産」への移行

また価格が伸び悩む背景について、バルチュナス氏はOG(古参の投資家)が利益を確定していることをあげた。さらに現物を保有しつつ、コールオプションを売却してプレミアム収入を得る「カバードコール戦略」にも触れた。これは短期的な上昇を狙う戦略ではなく、価格変動を前提に安定した収益を得る手法だ。

同氏はXで「成熟した資産では普通のこと。株式でも起きている」と述べた。こうした動きは、短期的には価格上昇を抑える要因となるが、一方でビットコインが運用可能な金融資産へと成熟していることを示している。

こうした海外での動きに対し、日本では制度整備が段階的に進められている。

19日、与党は令和8年度(2026年度)税制改正大綱を決定。暗号資産(仮想通貨)取引をめぐる税制上の扱いは、一定の条件のもとで「分離課税の対象とする」と明記された。

だが、適用開始日は「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」とされ、早くても2028年1月が想定されている。ビットコインETFなど暗号資産ETFの解禁についても同タイミング、つまり2028年が見込まれている。

|文:増田隆幸
|画像:Shutterstock

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