IBMがオレンジの海上輸送追跡実験。ブロックチェーンで手続きは1秒に短縮

IBMは2019年1月31日、ブロックチェーン技術を使って、中国からシンガポールに輸送されるマンダリンオレンジの追跡実験を行ったと発表した。

約10万8000個分、28トンのマンダリンオレンジは、旧正月の2月5日前に到着するよう、中国から発送された(IBMによると、マンダリンオレンジは、繁栄のシンボルだという)。その際、主な輸送書類、貨物伝票はブロックチェーン上に記録された。

商品の所有権証明や領収書、貨物契約の証明に使われる書類は通常、貿易金融を提供する銀行を含め、輸送に関わる全関係者に送られる。IBMは今回、電子貨物伝票(e伝票)を作成。書類作送信フローを自動化し、従来の紙ベースだと5〜7日を要する手続きを「1秒」で完了でき、事務を効率化したと主張した。

果物輸入業者HupcoのTay Khiam Back会長兼CEOはプレスリリースで、「e伝票を使うことで、全体の輸送プロセスが簡素化、透明化されました。同時にかなりコストを削減することが分かりました」と評価した。

IBMによると、事務作業の時間短縮に加え、テストはブロックチェーンを活用した電子システムが、港で集荷を待っている間、冷蔵貨物コンテナに使われる電気代のようなオペレーティングコスト、保管コストを下げられる可能性も示唆した。

海上輸送産業では不正行為の40%が、書類に関するものだという。追跡可能で改ざんができない保管記録を提供できれば、情報処理の効率も上がる。

パシフィックインターナショナルライン(Pacific International Lines)のエグゼクティブディレクター、リサ・テオ氏は「我々はブロックチェーンの進展が、海上輸送産業の効率やイノベーションに、十分に寄与できると期待を持っている」と述べた。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真: Mandarin oranges image via Shutterstock.
原文:IBM Completes Blockchain Trial Tracking a 28-Ton Shipment of Oranges