米国防総省が2年前にZ世代の反乱をシミュレーション、盗んだ資金はビットコインに

米国防総省が2年前にZ世代の反乱をシミュレーション、盗んだ資金はビットコインに

世界は謎の犯罪組織「ズベリオン(Zbellion)」からサイバー攻撃を受けている。彼らは「支配階級」から法定通貨を盗み、ビットコインに変えている──。

これは、リアルな戦場ではなく、未来のサイバー戦争に備えて2018年に作られた、米軍のシミュレーションのシナリオだ。

謎の犯罪組織「ズベリオン」

シナリオは、米メディア「The Intercept」が国防総省への情報公開請求によって入手した。米軍上層部はビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)に大きな関心を持っているようだ。

シミュレーションの舞台は2025年。「ズベリオン」と呼ばれるダークウェブに巣食う組織は、Z世代の不満を悪用している。Z世代は、アメリカで1990年代後半〜2000年に生まれた層を指す。前の世代に比べてチャンスが少なく、徐々にアメリカと西洋社会に幻滅している。

ズベリオンは「支配階級」を支えている組織から資金を盗む、世界的なサイバー攻撃への参加をZ世代のメンバーに呼びかける。

国防総省のシナリオでは、盗まれた資金はビットコインに変えられる。ズベリオンはソフトウエアを使ってハッキングした資金を、ロンダリングプログラムに送って法定通貨をビットコインに変える。攻撃を行ったメンバーに必要に応じて分配する。

犯罪組織はビットコインを使うのか?

ズベリオンが取引所を使うのか、ピアツーピア市場を使うのかなど、国防総省がどこまで具体的に想定しているのかはシナリオには描かれていない。またシミュレーションの設計者は「ビットコイン」という用語を暗号資産の意味で使った可能性もある。

もちろん、国際的なサイバー犯罪グループが違法な資金をロンダリングするためにビットコインや他のパブリックブロックチェーンを選ぶことはない。ビットコインなどのパブリックチェーンは、米軍などの第三者が取引の流れを簡単に監視でき、またその不変性によって、ズベリオンのようなハッキンググループが過去の取引を含めてハッキングを隠蔽することはほぼ不可能だ。

さらにチェイナリシス(Chainalysis)のようなサイバー監視会社は、ブロックチェーンユーザーを特定して追跡するためのより洗練されたツールを開発している。

当然ながらチェイナリシスはアメリカ政府の機関をクライアントにしている。例えば、FBIや麻薬取締局(DEA)、証券取引委員会(SEC)などだ。

2019年8月、DEAは匿名だと考えてビットコインを使用した5人の麻薬ディーラーを起訴した。

「捜査では、暗号資産は安全ではなく、匿名でもなく、正義から逃れることはできないことを示した」と当時、DEA特別捜査官ダグ・コールマン(Doug Coleman)氏は述べた。

2018年からの大きな変化

ズベリオンのシミュレーションは2018年に設計された。当時はICO(新規コイン公開)が盛んで、政府はもちろん、社会の主流技術として暗号資産技術を利用することはほとんど考えられていなかった。

だがその後、大きな変化があった。フェイスブック(Facebook)は独自のデジタル通貨を設計し、中国はデジタル人民元の導入を進めている。2018年には暗号資産にきわめて懐疑的だったFRB(連邦準備制度理事会)でさえも、分散型台帳技術を使ったデジタルドルを研究している。

国防総省は2019年7月にも報告書を発表し、ブロックチェーン技術を活用したサイバー攻撃への対応力を高める新しいサイバーセキュリティ対策に触れた。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Credit: Shutterstock/Jacob Lund
原文:Pentagon War Game Envisioned a Generation-Z Rebellion Funded by Bitcoin

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