米プルデンシャル元CEO、ビットコインは「安全資産」──暗号資産否定から一転

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は、長期的にも短期的にも「非常に魅力的」で、レイバー・デー(9月の第1月曜日の祝日)以降、さらに多くの人々が市場に参入し、「安全資産」として求められるようになるだろう──。

ビットコインおよびブロックチェーン否定派を自認していた米大手金融機関プルデンシャル・セキュリティーズ(Prudential Securities)の元CEOで、現在は投資会社サンダース・モリス・ハリス(Sanders Morris Harris)のCEOを務めるジョージ・ボール(George Ball)氏は8月14日、ロイターとのインタビューでそう語った。

景気刺激策は永遠には続かない

「政府は永遠に景気刺激策を取ることはできない。流動性の大規模な流入はいずれ終わる。遅かれ早かれ、政府はこうした景気刺激策の一部や、国民に提供している不可欠かつ賢明な補助金の一部のツケを支払わなければならない。増税するだろうか? それともドルを増刷し続けるだろうか? 増刷を続ければ、ドルの価値を下げるだけでなく、物価連動米国債(TIPS: Treasury Inflation Protected Securities)のようなものさえ価値が崩壊する可能性がある」

そしてこうした事態は、きわめて裕福な投資家やトレーダーがビットコイン、「もしくはビットコインのようなものを必需品として求める」結果につながると結論づけ、富裕層投資家の暗号資産への関心が高まっていることを示唆した。

新型コロナウイルス感染拡大中の投資トレンドの変化を指摘しているのはボール氏だけではない。

暗号資産投資会社ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のマイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)CEOは4月にブルームバーグ・テレビ(Bloomberg TV)で、新型コロナウイルスの感染拡大による金融の混乱の中で、ヘッジファンドや富裕層などの新たなプレーヤーが暗号資産を購入していると述べた。

ボール氏はまた、代替投資として暗号資産を求めることは、税金を回避するためではなく、「政府によって損なわれることのない何かを手に入れるため」と強調した。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:An advertisement for Prudential in 1909, a few years before George L. Ball became CEO of Prudential-Bache Securities (Wiki commons).
原文:Ex-Prudential Securities CEO Calls Bitcoin a ‘Safe Haven’