デジタル人民元のウォレットが一時利用可能に──中国4大銀行のアプリで

中国の国有4大商業銀行の一行である中国建設銀行(CCB:China Construction Bank)が展開するモバイルアプリが8月29日正午頃(現地時間)、「デジタル人民元」のウォレット機能の利用を一時的に可能にしたという。

アプリでユーザーが中国語で「デジタル通貨」と入力すると、デジタル人民元のウォレットサービスが現れ、さらに同行の銀行口座と結び付けられている携帯電話番号を登録すると利用可能になった。

中国建設銀行がこのサービスをいつ開始したのかはわからない。この情報は29日、中国の暗号資産(仮想通貨)コミュニティーとメディアの間ですぐに広がった。少額の取引に成功したユーザーもいたという。

現在、中国建設銀行はこのサービスを一般ユーザーには使えないようにしている。モバイルアプリに同じように入力しても、「この機能は一般の方にはまだ公式に利用可能となっていません。しばらくお待ちください」というメッセージが表示される。

それでも、ウォレットが短時間使えるようになったことは、同行が中国人民銀行(PBoC)が推進しているデジタル通貨/デジタル決済(DCEP)、いわゆる「デジタル人民元」の普及に取り組んでいることを示している。

実際のリリース時期は不明

米CoinDeskが確認したウォレットのインターフェイスによると、サービスを有効化したユーザーには固有のウォレットIDが割り当てられる。ウォレットIDはウォレットとユーザーの同行の銀行口座との間の取引に使われるようだ。

米CoinDeskが確認したウォレットのインターフェイス
出典:CCB mobile app

さらにユーザーは、固有のウォレットIDアドレス、あるいは銀行口座と結び付けられた携帯電話番号を入力することで、デジタル人民元を送ったり、受け取ったりすることができた。

中国人民銀行の指示のもと、国有4大商業銀行はそれぞれのデジタル人民元ウォレットを開発し、国内の限られたユーザーや業者で内部テストを行っていた。

4大銀行がいつ公式にサービスを一般公開するのかは不明だ。ウォレットが、デジタル人民元を利用できる他のアプリケーションも使えるようになるのかも分かっていない。

中国人民銀行はまた、大手配車サービスの滴滴出行(Didi Chuxing)や、他のインターネットベースのサービスと連携して、デジタル人民元の大規模なテストに取り組んでいる。

関連記事:中国配車サービスDiDi(滴滴出行)、デジタル人民元の試験運用を計画──初のCBDC大規模テスト

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:Chinese Bank Disables Digital Yuan Wallet After Soft Launch Draws Wide Attention