増加する“ビットコイン・クラス”──資産防衛に世代ギャップは縮まる

増加する“ビットコイン・クラス”──資産防衛に世代ギャップは縮まる

私は、典型的な中国のベビーブーム世代である父を説得して、父が苦労して稼いだお金の一部をビットコインに投資させようとあらゆる方法を試してきた。

しかし、その試みのほとんどは失敗に終わった。

封建的な社会の中で数千年もの間、中国人は政治的指導者を一族の長と考え、権威主義的な力を信じる傾向がある。私が提案する「自己主権」は、父の世代にとっては風変わりなだけでなく、あまりにも乱暴なものだ。

ドリー・デジェネレス(Dory DeGeneres):中国で育ち、暗号資産業界のベンチャー・キャピタリストとして働いている。

過去30年の奇跡的な経済発展のおかげで、中国のマネーサプライ(M2)は大幅に拡大し、平均世帯収入と社会的な豊かさは飛躍的に伸びた。生活水準はこの30年間、7年ごとに2倍に膨らみ続けた。一方、インフレ対策はうまくいかない。

アントの超大型IPO中止の影響

父の思考の変化は、中国の規制当局がアント・グループ(Ant Group)の新規株式公開(IPO)を直前で中止させたニュースを聞いた時に起きた。

他の多くの平均的な中国の中産クラスの人々と同様に、父はジャック・マー(Jack Ma)のような多くの称賛を集めた起業家も、国家権力の前では無力であることに気づかされた。ジャック・マーでさえ崩れ落ちるなら、父の世代が財産を保証された形で保有し続けることは不可能に近いと考えた。

中国の超富裕層の多くは、自分の財産状況を公にさせないために、金融メディアに金を支払うという。広く伝えられると、取り締まりの対象となる可能性があるためだ。

今回のアント・グループの件については、規制当局は同グループの融資商品が中国経済に与えかねないマイナスの影響を防ごうとしたことにメリットがあると言えるかもしれない。だがまた、政治体制に関わらず、権威主義的な政権から財産を守ることはできないことも明らかになった。

私有財産は本当に守られるか

結局のところ、我々は政治指導者が約束したことを守ることを祈るしかない。市民の私有財産は不可侵という約束だ。

指導者たちはそうした約束を法律に定めた。だが法律は不変だろうか? 法律は100%の強制力を持つことができるだろうか? 彼らが法の支配よりも人の支配を優先させたら?

世界中でナショナリズムが吹き荒れ、強硬な指導者やポピュリズム的な政権が増えるなか、ビットコインを保有するクラスの台頭は避けられない。

このクラスは、社会経済的な価値のみならず、生命と自由に対する共通の信念を持っている。何よりも重要なことは、このクラスが蓄積した財産は、戦争や革命などの社会的混乱、独裁者による押収から逃れることができることだ。50年から100年ごとに、社会構造は大きく変化し、社会の流動性は大きく動く。

ビットコインを保有するクラスは、これらすべてに抵抗力があり、財産を静かに受け継いでいくことができる。

人類の歴史上はじめて、クラスの区分は、収入や職業、あるいは他のいかなる認識のレベルによってではなく、本人だけが署名して証明できるコールドストレージの中の2進法の文字列によって行われる。

新型コロナウイルスの経験

私は、このクラスが数十年後には、社会運動や公共政策のあらゆる面に影響を与え、ユニークな影の力となると予想できる。彼らは独立して生き、必要な時にはいつでも団結する。それはビットコインによって可能になったクラスを超えたクラスであり、このグループの結束力は人種、言語、国籍、宗教的信条を超える。

我々は奇妙な世界を生きている。中央銀行は永遠に紙幣を発行し続ける。社会は分断されている。合意を得ることは不可能に近い。プライバシーは便利さと引き換えだ。

だが、新型コロナウイルスの経験は、誰もが共感できるものだろう。私たちは皆、より良い政府を実現することができる。より良い政府や、より公平なシステムを望んでいる。何度も失望するのではなく、なぜビットコンを保有するという決断ができないのだろうか?

これが父への唯一の働きかけだった。そして最近、父はついに私の提案を受け入れた。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:中国・上海の街並み(Shutterstock)
原文:The Rise of the Bitcoin Class

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