ビットコインの“クジラ”、過去最多を更新──機関投資家の参入継続の兆し

1000ビットコイン(現在のレートで約40億円相当)を保有するアドレスの数が過去最多となった。「クジラ」と呼ばれる大口保有者が暗号資産のビットコインを積極的に購入し、価格を支える可能性がある。

大口保有者のアドレス数は昨年末の2221から2334に増加。ビットコイン価格が急騰した2017年末からは、30%以上の増加を記録した。データサイトのグラスノードのデータでわかった。同アドレス数は、昨年10月中旬から上昇したが、12月18日から同月26日の間、一時的に4%減少した。

1000ビットコイン以上を保有するアドレス数推移
出典:Glassnode

「ほぼすべての暗号資産の価格が上昇しているが、多くの大口保有者は利益確定にはほとんど関心がないことを示している」と米CoinDeskは7日に発表した四半期レビューで述べている。

一方、BitInfoChartsのデータによると、1000万ドル(約10億4000万円)以上のビットコインを保有するアドレス数は6633。また暗号資産取引所クラーケン(Kraken)の2020年12月のレポートによると、100ビットコイン以上を保有するアドレスは12月、さらに4万7500ビットコインを購入している。

ビットコイン・リッチリスト

クジラのアドレス、いわゆる「ビットコイン・リッチリスト」の拡大は、2020年初頭から機関投資家がビットコイン市場に参入していることを反映している。また、シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME)におけるビットコイン先物の取引高と建玉(未決済の契約総数)が急増していることも、機関投資家の積極的な参入を示している。

ビットコインは初めて4万ドルを突破した直後、3万8700ドル付近で取引された。暗号資産(仮想通貨)全体の時価総額も6日、初めて1兆ドル(約100兆円)を超えた。

「2017年のビットコイン価格の上昇は、主に個人投資家の熱狂によるものだったが、昨年は機関投資家がけん引した。大規模な機関投資家が、ビットコイン投資をポートフォリオ資産として公に発表することが加速度的に増えていることは、ビットコインのポートフォリオにおける役割を証明しただけではなく、他の投資家の注目も集めている。法定通貨とインフレをめぐる経済の不確実性が高まっていることを考えると、2021年も現在の状況が続く可能性が高い」(米CoinDesk四半期レビュー)

2020年9月以降の機関投資家の参入状況
出典:Arcane Research

データサイトの「Assetdash」によると、ビットコインの時価総額は、電気自動車メーカーのテスラ(Tesla)やフェイスブックの時価総額をわずかに下回っている。テスラ株の上昇により、テスラのイーロン・マスクCEOは7日、アマゾン(Amazon)のジェフ・ベゾズ氏を抜いて、世界一のビリオネアとなったと報じられた。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:‘Bitcoin Rich List’ Rebounds to Hit All-Time High