27日のFOMC、ビットコイン市場関係者が探るべきポイント

27日のFOMC、ビットコイン市場関係者が探るべきポイント

「経済が再開されたとき、インフレが手に負えない状況に陥ることをどのように防ぐのか?」──この疑問について議論を行う場を、FRB(米連邦制度準備理事会)はまだ準備していない。

新型コロナウイルスが与える経済的・社会的インパクトと、経済刺激策として金融システムに投入された数兆ドルを考慮すると、今後の移行期は、FRBの108年の歴史の中でも極めて困難な時期となるだろう。一方で、ビットコインのインフレヘッジとしての可能性が試される重要な時期になる。

多くのエコノミストは、27日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC:Federal Open Market Committee)でのジェローム・パウエル(Jorome Pawell)FRB議長の発言に注目している。パウエル議長のコメントは、主に短期的な経済見通しについてのものになるが、FRBの中長期的な計画についてのヒントになる可能性がある。

量的緩和の行方

この数週間、各地の連邦準備銀行の総裁たちは、800億ドル(約8兆3000億円)の国債と400億ドル(約4兆1500億円)の不動産担保証券を購入するという量的緩和政策を控えるのか、それとも継続するのかについての疑問を呼び起こしている。

この量的緩和政策は、新型コロナウイルス感染拡大が終結し、消費者が支出を再開するまでは継続される可能性が高いとエコノミストたちは語る。

「あらゆる種類の市場指標である損益分岐点について考えると、エコノミストのコンセンサス予想に、この先5年間で2%を超えるインフレを示しているものはない。ワクチンが広まるにつれて、節約されていたお金は使われ、経済は大盛況となる。FRBはその芽を摘むだろうか?」と米財務省で国際エコノミストを務めたデビッド・ベックワース(David Beckworth)氏は語る。

FRBが今週に、金利や資産購入において何らかの行動を起こすことは、誰も期待していないと、FRBの元エコノミスト、クラウディア・サーム(Claudia Sahm)氏は言う。しかし、投資家はパウエル議長の新しいメッセージを待っているのは確かだろう。

リチャード・クラリダ(Richard Clarida)副議長が今月、2%のインフレとならない限りFRBが金利を上げる可能性は低いと語ったが、サーム氏はパウエル議長が同様の見解を繰り返すだろうと考えている。

「インフレが2%になっている状態で、FRBが金利を抑えていたことは一度もない。また2008年以前から、持続的に2%のインフレとなったことはない。だが現状よりも高いインフレになるだろうから、この点をFRBが発言することは重要だ」とサーム氏は指摘する。

一方、ベックワース氏は資産購入についても同様の指針が示されることを望んでいると語った。

パウエル議長はFRBの運営について「現状維持」の見解を示す可能性が高いと、ハーバード大学のエコノミスト、ケン・ロゴフ(Ken Rogoff)氏はコメントする。パウエル議長はFRBに「注目が集まること」を望んでいないと、ロゴフ氏は話す。

より緩やかなインフレ予測は、ビットコイン支持者の熱狂に水を差す可能性が高い。だが、暗号資産の投資家は、FRBが今年後半に方針を変えることを目の当たりにするかもしれない。

インフレヘッジ、貯蓄、高利回り投資

現在、FOMCは安定した通貨政策を計画している。しかし、安定した予測は過去に変わったことがあるとジョージ・メイソン大学の経済学教授、ローレンス・ホワイト(Lawrence White)氏は述べる。

「人々は、収入に比べて、相当のお金を貯めている。通常保有するよりもかなり多い金額だろう」とホワイト氏は指摘した。

「FRBが通貨政策を変更する前に、(インフレ率が)2%を超えるようなことになる可能性もある。(中略)仮にパウエル議長がインフレのサインを見つけたら、通貨政策の引き締めを正当化しやすいと感じるかもしれない」

また、アメリカにおけるインフレ率が低いからといって、ビットコインがインフレに対するヘッジ資産にはならないということではないのかもしれないと、ホワイト氏は語る。

「インフレを回避するためにビットコイン投資を行っているのは、アメリカだけではない。ベネズエラ、レバノン、アルゼンチンなど、インフレが激しくなっている国々では、ビットコインは強気相場となっている。(中略)ビットコイン市場はアメリカの月々のインフレ率と緊密な関係を持つことはないと考えている。つまり、インフレに対するヘッジとしてビットコインを保有している人たちは長期的に考えているのだ」(ホワイト氏)

ビットコインの価値を牽引している他のストーリーには、検閲が困難な決済方法を求めている反体制派の人たちというものがあるとホワイト氏は言う。最近では、ロシアのプーチン大統領の反対勢力の中心的人物、アレクセイ・ナワリヌイ(Alexey Nalvany)氏へのビットコインによる寄付が3.7ビットコイン増加した。

「このことは、ビットコインに(価値保存のほかに)価値交換の手段としてのニッチな需要があることを示した。将来、高値で売却することを期待して買うことだけがビットコインの価値ではない」とホワイト氏は述べた。

ワクチンと消費循環

経済の大規模な縮小がなければ、将来、資産購入を増やす計画はないことをFRBはすでに示している。

これが、FOMCも新型コロナウイルスの変異種に対するワクチン接種の効果を注視し、抑え切れない感染拡大が消費者の間に恐怖を生み出さないよう見守っている理由だと、サーム氏は述べた。

「今年の春と夏、好循環が定着する可能性もあるが、保証はない。人々の景気回復に対する期待は、いつも利用している日用品店やカフェ、レストランなど小規模な事業者の動向に基づいている。消費行動にとってきわめて重要なものであり、必ずしも明確な経済イベントによって動かされるわけではない。(中略)国や支持政党よって、ウイルスに対する恐怖心は違っている」(サーム氏)

FRBは、支出が完全に復活するタイミング、そして経済がどれくらい素早く完全雇用の状態に回復するかを見極めようとするだろう。

「FRBは今、1年にわたって急速にマネタリーベースを拡大してきている。この12カ月でM1は72%、M2は27%増加したが、通常、そこから起こるようなインフレには至っていない」(M1は現金通貨、当座預金、トラベラーズチェックなどの流動性の高いお金を表す。M2はM1に貯蓄預金、MMFなど流動性の低いお金を含めたもの)。

他の条件が同じなら、M1の増加は72%のインフレを生み出すはずだが、この数字は単独ではほとんど意味を持たないとホワイト氏は説明する。パンデミックが引き起こした不況の間、世界的に支出は抑えられており、2桁台のインフレが発生することは考えられない。

人々が旅行やレストランでの外食を通常どおりに再開できるようになれば、FRBは2%を超えるインフレを防ぐために「通貨供給を抑える必要がある」かもしれないとホワイト氏は述べた。

経済を過熱させておく

1000万人のアメリカ人が失業している一方で、FRBが金融市場にてこ入れするにつれて、不平等は拡大するだろう。経済を過熱させておくことは、パウエル議長にとって、アメリカの回復を後押しするためのベスト・ソリューションかもしれないとベックワース氏は語った。

一方、低金利によって投資家は利益を探し求め、高利回りのあらゆる資産に向かっている。

「アート作品、暗号資産、ゴールドを上昇させ、あらゆるものの価格を高騰させている。バブルと考えるかどうかは、実質金利が上がる可能性をどう考えるかによって変わってくる」とロゴフ氏は述べた。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ジェローム・パウエルFRB議長(CoinDesk archives)
|原文:How Bitcoiners Should Watch the US Federal Reserve Meeting on Wednesday

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