フェイスブックの仮想通貨プロジェクト、米上院が懸念。ザッカーバーグ氏に書簡で説明求める

フェイスブックが仮想通貨に関わるプロジェクトを進める中、米上院銀行委員会はこれに対して個人の金融情報の取り扱いに関する懸念を明らかにした。

同委員会は2019年5月9日、フェイスブック創業者兼CEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカーバーグ氏に宛てた書簡で、仮想通貨に関わるプロジェクトの詳細を共有するよう求めた。

書簡には、「フェイスブックは昨年、米国の金融機関に対して消費者の金融情報を共有するよう要求した。専門家は、フェイスブックによる広範囲に及ぶ情報収集活動に関して質問を提起しており、収集されたデータの利用目的が公正信用報告法(FCRA)の対象になるのではないかと疑問視している」と述べられた。

同委員会はザッカーバーグ氏に、「プロジェクト・リブラ(Project Libra)」のコードネームで進められるフェイスブックの仮想通貨の取り組みがどのように機能し、個人のプライバシーや個人情報保護の観点でユーザーが注意すべき点などを説明するよう求めている。

上院銀行委員会は以下の具体的な点を明確にしようとしている。

  • フェイスブックがどのような個人の金融情報を金融機関と共有しているのか。
  • それらの情報をどのように利用するのか。
  • フェイスブックはクレジットレーティング(格つけ)機能を有するのか。
  • フェイスブックはどのようにFCRAを遵守するのか。

現在までにプロジェクト・リブラに関する詳しいことは明らかにされていない。フェイスブックは昨年頃からブロックチェーンのリサーチチームを組成してきており、元コインベース幹部のデービッド・マーカス(David Marcus)氏が同チームを牽引している。

また、フェイスブックはこのリサーチチームを作るための採用活動を強化。プロジェクト・リブラには、マサチューセッツ工科大学(MIT)で仮想通貨とブロックチェーンの研究を続けてきたクリスチャン・カタリーニ准教授(テクノロジカル・イノベーション担当)が参画した。

一部の報道によると、フェイスブックは今後10億ドル規模の資金を調達して、ステーブルコインの担保に利用する方向で動いているという。

翻訳:CoinDesk Japan
編集:佐藤茂
写真:Mark Zuckerberg image via Shutterstock
原文:US Senators Seek Information on Facebook’s ‘Libra’ Crypto Project