- 分散型取引所ハイパーリキッドのネイティブトークンHYPEは過去24時間で8%急騰し、50ドルを超える史上最高値を記録した。
- この上昇は記録的な取引活動と自動買い戻しメカニズムによって牽引された。ハイパーリキッドでは、8月にデリバティブ取引高が3570億ドルを超える急増となり、1億500万ドルの取引手数料が発生した。そのほとんどはHYPEの買い戻しに充てられた。
- ByteTreeのアナリストらは、ハイパーリキッドを「DeFiで最も目を引くプロトコル」の一つと評したが、リスクも潜んでいる。
分散型取引所(DEX)ハイパーリキッド(Hyperliquid)のネイティブトークンHYPEは27日序盤に急騰し、史上最高値を更新した。オンチェーンの無期限先物取引で知られているハイパーリキッドに記録的な取引活動が集まり、HYPEは今年に入ってから華々しい上昇が続いていた。
HYPEは50ドル(約7300円、1ドル145円換算)の水準を初めて突破し、過去24時間で約8%上昇した。本記事執筆時点では4月の底から430%上昇しており、昨年11月下旬に約3ドルで取引を開始して以来で約15倍になっている。
この上昇は、取引所全体での記録的な取引活動と、市場からHYPEを着々と吸収して流通供給量を減らす自動買い戻しメカニズムに牽引された。
取引ブーム
DefiLlamaのデータによると、ハイパーリキッドの8月のデリバティブ取引高は3570億ドル(約51兆7650億円)超えを記録した。7月の3190億ドルから増加しており、1年前と比較すると約10倍となった。Blockworksのデータによると、現物取引高も記録を更新し、8月24日までの週に30億ドルを超えた。
こうした資金流入はハイパーリキッドにとって予想外の収入となった。DefiLlamaのデータによると、ハイパーリキッドは8月に1億500万ドル(約152億円)の取引手数料を計上しており、これは今年最高額だ。

こうした収益の多くは、ハイパーリキッドのアシスタンス・ファンド(Assistance Fund)を通じて市場でHYPEを購入するために直接投入されている。この資金枠は公開市場でHYPEを買い戻す自動化されたオンチェーンメカニズムであり、HYPEへの持続的な購入圧力を生み出し、流通供給量を効果的に削減している。
1月の立ち上げ以来、ファンドの保有するHYPEは300万枚から2980万枚に膨れ上がった。本記事執筆時点で15億ドル(約2175億円)以上に相当し、価格上昇を後押ししている。
ニュース面では、デジタル資産カストディアンのビットゴー(BitGo)が26日にハイパーリキッドのエコシステムを支えるHyperEVMネットワークに対応し、HYPEおよび関連アプリケーションへの機関投資家のアクセスが可能になった。
アンロックが売り圧力になるリスク
ByteTreeのアナリストであるシェへリヤール・アリ(Shehryar Ali)氏とチャーリー・モリス(Charlie Morris)氏は最近の調査ノートで、ハイパーリキッドを最大の分散型無期限先物取引の場となった「発電所」と評した。
2人は、「全てを考慮すると、ハイパーリキッドは現在DeFiで最も目を引くプロトコルの一つだ」とし、「その強力なファンダメンタルズ、記録的な手数料発生、そして圧倒的な市場シェアは無視できない」と述べた。
強気なファンダメンタルズにもかかわらず、レポートではHYPEの評価額に関する懸念も指摘された。HYPEは本記事執筆時点で、完全希薄化後評価額(FDV)で500億ドル(約7兆2500億円)を超えているが、流通量は供給量の約3分の1に過ぎず、時価総額は168億ドル(約2兆4360億円)だ。
さらに、予定されていた11月に始まるHYPEのアンロックが売り圧力を引き起こし、需要の強さを試す可能性があるとレポートは指摘した。
アナリストらは「トークンはここ数カ月ですでに急騰しているが、強固なオンチェーン活動が引き続き評価額を支えている」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Hyperliquid’s HYPE Hits Record High Above $50 on Trading Boom, Token Buybacks


