- 10xリサーチは、市場動向が短期的な落ち着きを示しているため、ショートストラングル戦略を推奨している。
- この戦略は、ビットコインが9万5000ドルから12万5000ドルの間で推移することを前提に、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを売却してプレミアムを獲得するものだ。
ビットコイン(BTC)は8月に大幅なボラティリティ上昇が予想されていたが、レンジ内で推移した。市場動向から見て、短期的には低ボラティリティ相場が続くと予想されるため、10xリサーチ(10x Research)は「ショート・ストラングル」を理想的な投資戦略として強調している。
「ビットコインオプション市場の現状を踏まえると、9月はショート・ストラングルが好機と言えるだろう。ビットコインは11万3000ドル前後で取引されており、予想レンジは9万5000ドルから12万5000ドルの間だ。9万5000ドル付近のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)プット(9月限)と12万5000ドル付近のOTMコール(9月限)を同時に売り出すことで、プレミアムを獲得するチャンスが生まれる」と、10xリサーチの創設者であるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は8月28日に顧客向けレポートで述べている。
ショート・ストラングルとは、原資産の現物価格から等距離に位置する、同じ満期日のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)コール(高行使価格)とプット(低行使価格)を同時に売り(売り建て)する戦略だ。
この戦略は、プレミアムと引き換えに、強気相場と弱気相場の両方の動きに対する保険を売るようなものだ。プレミアムとは、現物価格が2つの権利行使価格(この場合は9万5000ドルと12万5000ドル)の間にある場合に得られる最大利益を表す。
オプション(またはストラングル)の売りは、インプライド・ボラティリティ(IV)が実現ボラティリティを上回っている場合によく行われる戦略だ。これにより、トレーダーはより高いプレミアムを獲得でき、市場は比較的安定すると予想されるためだ。
「この戦略が有効なのは、IV曲線が実現水準を上回って取引されているからだ。これはオプションが割高であることを示唆しており、市場が短期的に定義したレンジ外の大きな動きを示す可能性が低いことを意味する」とティーレン氏は述べている。「オプションのIVの期間構造は、短期的な落ち着きを示唆している」。
IVの期間構造は、将来のさまざまな期間におけるボラティリティの推移を予測するグラフだ。IVは通常、満期までの期間が長くなるにつれて不確実性とリスクが増大することを反映して、右上がりの傾向を示す。
リスク管理が必要
提案された戦略で利益を生むには、BTCが9万5000ドルから12万5000ドルの間で取引を続ける必要がある。レンジ相場はOTMコールとプットの需要を減らし、これらのオプションからプレミアムを減少させる。これによりストラングルの売り手は利益を得る。
ティーレン氏が8月上旬に推奨した戦略もショートストラングルであり、10万5000ドルのプットと13万ドルのコールを組み合わせた。この戦略は3.5%の利回りを生み出した。
ただし、ショートストラングルには重大なリスクが伴うことに注意が必要だ。特にボラティリティが急上昇した場合、多大な損失を招く可能性がある。したがって、トレーダーはポジションと関連する市場変数を継続的に監視し、リスクを効果的に管理しなければならない。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin ‘Short Strangle’ Preferred as Market Signals Near-Term Calm: 10x Research


