金融庁は9月1日、あすの金融審議会「第2回 暗号資産制度に関するワーキング・グループ」に先立ち、事務局説明資料「暗号資産に係る規制の見直しについて」を公表した。
この資料では、暗号資産(仮想通貨)について、現行の資金決済法に加えて金融商品取引法(金商法)の規制対象とする場合、「二重規制となり規制の複雑化や事業者の負担が生ずるおそれがある」と指摘。その上で、「基本的に金商法のみで規制することが適当ではないか」との見解が示された。

さらに、暗号資産を金商法で規制する際の位置付けについても言及されている。
資料によれば、金商法上の有価証券は、法的に保護された「権利」を表章し(権利性)、事業等の遂行により生じた収益の配当等を伴う(収益分配性)ものである。これに対し、暗号資産は何らかの法的な権利を表章するものではなく、収益の配当や残余財産の分配等も行われないため、有価証券とは本質的に性質が異なると説明。

このことから、暗号資産(現物)を不公正取引規制以外も金商法の規制対象とする場合、「有価証券とは別の規制対象として金商法に位置付けることが適当ではないか」と提案している。
なお、金融庁が2025年4月10日に公表していたディスカッション・ペーパー「暗号資産に関連する制度のあり方等の検証」では、規制見直しの基本的な考え方として、「金商法の仕組みやエンフォースメントを活用することも選択肢の一つ」との表現に留まっていた。
今回の資料で、より踏み込んだ見解が示された。
|文:栃山直樹
|画像:金融庁資料から


