- 米連邦準備制度理事会（FRB）は、政策金利であるフェデラルファンド金利のレンジを25ベーシスポイント（bps）引き下げ、4％～4.25％とした。これは、昨年12月以来初の利下げである。
- この動きは、ここ数週間で景気鈍化の兆候が増加したことに伴って行われた。
- 広く予想されていたこの決定の発表後、ビットコインは数分間で約1%上昇した。
米連邦準備制度理事会（FRB）は、米経済に対する様子見のアプローチを10カ月間とった後、緩和モードに戻った。
FRBは9月17日、大方の予想通り、政策金利であるフェデラルファンド金利のレンジを25ベーシスポイント引き下げ、2022年12月以来の最低水準である4％～4.25％とした。パウエル議長はこれを「リスク管理の利下げ」と呼んだ。
FRBは、今年上半期の経済成長が「穏やかになった」こと、そして雇用市場が「減速した」ことを認めた。
パウエル氏は記者会見で、この減速は主に移民の変化によるものだと述べた。それでも、より大幅な利下げに対する広範な支持はなく、FRBは利下げを待ったのは正しかったし、より積極的に利下げを急ぐことはないと述べた。
この決定は、米国の労働市場が決定的に弱まり始めたことを示す兆候が増加したことに続くものであり、その最新のものは8月の雇用統計であった。これによると、新たに追加された雇用はわずか2万2000人にとどまり、失業率は4.3％に上昇し、2021年以来の最高水準となった。
「FRBはよりハト派に傾くよう圧力を受けており、パウエル氏の後任はより速く、より大幅な利下げを支持する可能性が高い」と、ギャラクシー（Galaxy）の流動性アクティブ戦略責任者であるクリス・ライン（Chris Rhine）氏は述べ、次のように続けた。
「リスク資産はこの利下げをほぼ織り込んでいたが、更新されたドットチャートは最近のセルサイドの予測と一致しており、今後さらに50bpsの利下げがあることを示している」。
そのデータに加えて、以前の月のレポートの改訂版は、創出された雇用が以前考えられていたよりもはるかに少ないことを示していた。
さらに、トランプ大統領が、インフレが軟化していると主張する状況でFRBが行動を躊躇していることを繰り返し批判していたという政治的圧力もあった。パウエル氏は17日の記者会見で、FRBは「その独立性を維持することに強くコミットしている」と述べた。
ビットコイン、「新高値」の可能性
利下げの発表後、ビットコイン（BTC）の価格は数分間で約1％上昇した後に、上昇分を失った。当記事執筆時点では、決定以来約1.5％下落し、11万5092ドルで取引されている。
FRBの決定を前に数週間にわたって繰り返し過去最高値を記録していた米国の主要な株価指数も、このニュースを受けて一時的に上昇したが、その後は急落した。金も同様の動きをたどった。
「ドットチャートはよりハト派に傾き、FRBは状況が要求すれば緩和のペースを加速することに前向きであることを示唆した」と、21シェアーズ（21Shares）の暗号資産（仮想通貨）リサーチストラテジストであるマット・メナ（Matt Mena）氏は述べ、次のように続けた。
「この再評価リスクが今や中心となり、ビットコインにとって非対称な環境を作り出している。今日の25bpsの利下げはきっかけを提供したが、利下げ自体よりもドットが示唆する道筋が、ビットコインが年末までに新高値に挑戦する舞台を整えるかもしれない」
今後の見通し
ドットチャートを見ると、米連邦公開市場委員会（FOMC）参加者の間で今年の残りがどのように展開するかについて意見が分かれていることが示されている。参加者のわずかな過半数が、今年さらに2回の利下げがある可能性があると考えている。
19人の参加者のうち7人が、金利は今年中据え置かれると見ている。
｜翻訳・編集：山口晶子
｜画像：パウエルFRB議長（miss.cabul / Shutterstock.com）
｜原文：Fed Cuts Rates in ‘Risk Management’ Move as Bitcoin Eyes Possible Upside
