- ブルームバーグによると、中国は金地金市場における自国の役割強化の一環として、上海にゴールドを保管するよう各国中央銀行に働きかけている。
- ゴールド(金)の現物価格は、中央銀行からの需要が勢いを増し、先週、1オンスあたり3785ドル付近で過去最高値を更新した。アナリストはこの動きを脱ドル化と関連付けている。
- アナリストらは、中国国内のゴールド市場はすでに世界最大規模だが、世界の準備金保管の中心地は依然としてロンドンだと指摘している。
報道によると、中国は各国中央銀行の金準備を自国で保管することを提案し、世界のゴールド(金)市場における影響力拡大を図っている。
ブルームバーグによると、中国人民銀行はここ数カ月、友好国の中央銀行に対し上海金取引所を利用してこの構想を売り込んできた。事情に詳しい関係者によると、少なくとも東南アジアの1カ国が関心を示しているという。
この動きにより、中国はゴールドの取引拠点としての役割を強化し、欧米の金融センターへの依存を減らすことができる。カストディサービスはインフラの重要な部分であり、取引活動の増加と信頼性の向上に寄与する。
ゴールド(金)アナリストのヤン・ニューウェンハイス(Jan Nieuwenhuijs)氏はXで、各国中央銀行は技術的には2014年から上海にゴールドを保管できるようになったが、これまでの利用はごくわずかだと指摘した。同氏はさらに、越境決済プロジェクトのmBridgeに関係している可能性のある東南アジアの1カ国が、この選択肢を検討している可能性があると付け加えた。
この動きは、中央銀行の需要がゴールド価格の強力な上昇を支えているタイミングと重なる。
ゴールドの現物は9月22日にニューヨークで1オンスあたり3784.74ドルまで上昇し、新たな記録を樹立した後、小幅に下落した。マーケットウォッチによれば、ゴールド価格は先週終値で3789.80ドルとなり、年初来43.59%上昇した。これはビットコインの17%上昇、S&P500の12.96%上昇、ナスダック総合指数の16.43%上昇を大きく上回る。
Kitco Newsによると、買われ過ぎの状態にもかかわらず、アナリストはインフレ傾向と米国債の代替となる資産への需要増を理由に、ゴールドの上昇基調が継続すると予想している。ガベリ・ファンド(Gabelli Funds)の共同ポートフォリオマネージャー、クリス・マンチーニ(Chris Mancini)氏は、投資家がドルの代替手段としてゴールドにますます注目していると述べた。
とはいえ、中国はロンドンなどの既存市場との競争に直面している。ロンドンの金庫には世界の金準備の5000トン以上が保管されている。世界ゴールド協会(WGC)の統計では、中国は中央銀行のゴールド保有量で世界5位だが、宝飾品・地金・金貨の国内市場の規模は世界最大だ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:As Gold Keeps Setting New Highs, China Reportedly Wants to Be Its Custodian for Central Banks


