デジタル証券株式会社、一気通貫型サービスで個人投資家向けセキュリティ・トークン提供開始──「金融商品のコンビニ」を目指す:山本CEO

セキュリティ・トークン(ST)に新たなプレーヤーが登場する。

デジタル証券株式会社(以下、デジタル証券)は9月29日に記者発表会を開催。個人投資家向けにセキュリティ・トークン(ST)「renga」の提供を開始すると発表した。STの設計・組成から運用、販売、セカンダリー取引、さらにST基盤を含めて、一気通貫型でサービスを提供し、低コスト化を実現していることを特徴にあげている。

冒頭、同社代表取締役CEOの山本浩平氏は「金融ライセンスの取得に想定以上に時間がかかった。今日という日を迎えられるか、ドキドキする日々を送ってきた」と明かした。同社は、2025年5月29日付けで金融ライセンス(第一種・第二種金融商品取引業、投資運用業)を取得している。

また山本氏はスタートアップとしては6期目であり、これまで機関投資家、プロ投資家向けに事業を展開、「預かり資産(AUM)は500億円ぐらいまで積み上がっている」と述べた。

「貯蓄から投資へ」が進まない“3つの壁”

日本では「貯蓄から投資へ」が叫ばれ、NISAの登場で投資への関心は高まっているものの、日本の家計の金融資産はまだ貯蓄中心に留まっている。その原因として、しばしば「金融リテラシーの低さ」が指摘されるが、山本氏は「問題は、金融リテラシーの向上ではないのでは」と疑問を呈した。

そのうえで「日本人の国民性にあった商品が提供できていないことが問題」と指摘し、「3つの壁」として、安定を最優先する「値動きの壁」、商品選びの難しさによる「目利きの壁」、そして最も深刻な問題として、現金至上主義がもたらす「流動性の壁」をあげた。

同社が提供する個人投資家向けST「renga」は、3つの壁に対する同社の解答となる。つまり、プロが選んだ優良な資産をブロックチェーン技術を使って小口化し、中間コストを削減して低コストを実現、さらに投資家同士の売買を可能にして換金性を実現するという。

山本氏は「renga」の第1号案件として『デジタル証券「renga」第1号 ~レジデンス(北品川)~』を紹介。司法試験合格後、金融庁・財務省でキャリアを積んだこともあり、「数字を揃えることにこだわった」として、想定利回り(年利)「5.5%」、運用期間「5年」、購入金額「50万円〜」と5で揃えた案件について説明した。

マーケットプレイスを構築

ただし、「プロが厳選(プロクオリティ)」「小口化」「低コスト化」という「4つの強み」のうちの3つは、発行金額が2000億円を超えて成長している日本のST市場において、すでにアピールされていることでもある。同社のユニークな点は、4つ目の強みとして「換金性(投資家間売買を可能に)」をあげていることだ。

〈発表資料より〉

山本氏は第1号案件の紹介の後、「ここから我々が本当の意味で何をやりたいかを説明させていただく」と切り出し、「日本初、国内唯一のデジタル証券のマーケットプレイスを作る」と述べた。

自社商品である「renga」にとどまらず、他社が組成したST(デジタル証券)も扱う構想だ。

「金融商品はどこに買いに行けばいいのかわからない状況がある。ネット証券にログインしても、商品が並んでいるわけではない。だから、金融商品のコンビニが必要だと考えている。いろいろな商品が並び、安心して購入できる。さらにメルカリのように、投資家同士で売買できることが重要だ」と山本氏は強調した。

特に投資家同士の売買を実現させることは非常に難易度が高く、「死ぬ気で調整した」と述べた。

同社は、「renga」の預かり資産残高(AUM)の目標として2026年度に1000億円を掲げる。さらに山本氏は「自社のAUMだけではなく、プラットフォーム全体のAUMを拡大させ、1兆円を目指していきたい」と述べた。

換金性=流動性を実現できるか

不動産STは日本のST(デジタル証券)市場をけん引し、グローバルなRWA(現実資産)トークン化の潮流の中でもユニークなポジションを確立している。流動性については、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)のSTセカンダリー市場「START」が存在し、2023年末から取引が行われているものの、取扱銘柄数、取扱高はまだこれからといった段階だ。

「renga」は、成長する日本の不動産ST市場の中で、新たな商品シリーズとして確固たるポジションを獲得していくだろう。そこからスタートして、同社が目指すSTのマーケットプレイス、「金融商品のコンビニ」を実現させるには、同社が掲げる「換金性(投資家間売買を可能に)」の実現が最大のポイントとなる。

日本のST市場に新たな一石を投じ、市場拡大を加速させることができるのか。まずは1号案件の動向が注目される。

〈山本氏のプレゼンの後には「デジタル証券の展望」と題したパネルディスカッション。左から、山本CEO、SBI証券 加藤諒氏、三菱商事 石綿恒氏、三菱UFJキャピタル 関寛明氏〉
〈株主とともにフォトセッションに臨む山本CEO、提供:デジタル証券〉

|取材・文:増田隆幸
|撮影:CoinDesk JAPAN編集部

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