- ステーブルコインの時価総額は、USDTとUSDCの成長に牽引され、過去最高の3140億ドル(約47兆1000億円、1ドル150円換算)に達したとブローカーのカナコードは報告。
- 規制の明確化と、シティグループやビザといった金融機関の新規参入により、競争が激化している。
- ステーブルコインがインターネットの「マネーレイヤー」となり、暗号資産インフラ全体を強化するとカナコードは予測。
カナコード・ジェニュイティ(Canaccord Genuity)によると、ステーブルコイン市場は急速な成長を続けており、テザー(Tether)のUSDTとサークル(Circle)のUSDCの成長に牽引され、総時価総額は3140億ドル(約47兆1000億円)を超える過去最高を記録した。
ジーニアス(GENIUS)法の施行により、USDCなどの規制準拠型ステーブルコインは米国政府から現金と同等に扱われるようになり、この動きがこのセクターの勢いと信頼の両方を高めていると、カナコードは考えている。
カナコードのジョセフ・ヴァフィ(Joseph Vafi)氏率いるアナリストらは15日のレポートで、この規制の明確化は、ステーブルコインがインターネットの「マネーレイヤー」となるという中期的な論拠を強化するものだと述べた。
ステーブルコインとは、米ドルや金などの他の資産に価値が連動する暗号資産(仮想通貨)だ。ステーブルコインは暗号資産市場において重要な役割を果たし、決済インフラを提供するだけでなく、国際送金にも利用されている。
アナリストらは、この成長にもかかわらず、米国のM2マネーサプライという理論上のTAM(Total Addressable Market:潜在市場規模)と比較すると、市場の浸透率は依然として低く、新規参入者や従来の暗号資産取引を超えたユースケースが出現する中で2026年までに大きな拡大の余地があると指摘した。
金融大手が次々参入
ブローカーのカナコードはまた、大手金融機関がステーブルコイン戦略を打ち出すにつれ、競争環境が激化しつつあると指摘した。
第3四半期に、テザーは2025年末までに米国規制下のドル建てステーブルコイン「USAT」を発行する計画を発表。市場の約70%のシェアを占める最大手企業であるテザーは、拡大を支えるため150億ドル(約2兆2500億円)から200億ドル(約3兆円)の資金調達を目指している。
しかし現在、ステーブルコインの利益の大部分がテザーに集中していることから、他の金融大手がその優位性を奪おうとしているとカナコードは分析。シティグループ(Citigroup)のCEOは、独自ステーブルコインの取り組みを検討していると述べ、ビザ(Visa)は2026年4月にステーブルコインの試験運用を開始する計画を発表した。
一方、USDCの流通量はカナコードのアナリストの予測を上回るペースで増加しており、競争が激化しているという見解を裏付けている。
ステーブルコイン普及が暗号資産エコノミーを後押し
ステーブルコインはビットコイン(BTC)と直接的かつ機械的なつながりはないが、ステーブルコインの普及は、より広範な暗号資産エコノミーの触媒として機能するとレポートは主張している。
ステーブルコインが世界的な支払いおよび決済フローに深く組み込まれるにつれ、デジタルウォレットやカストディソリューションから次世代の分散型金融(DeFi)アプリケーションに至るまで、コアインフラへの投資を加速させる可能性がある。
これにより強化ループが生まれる。ステーブルコインが金融システムに統合されるほど、より広範な暗号資産業界の基礎となるレールも強化されることになると、カナコードは述べた。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:NASA/Unsplash, modified by CoinDesk
|原文:Stablecoins Surge to Record $314B Market Cap as Institutional Race Heats Up: Canaccord


