- トークン化専門企業のセキュリタイズは、AAA格のローン担保証券（CLO）をイーサリアムブロックチェーンに導入する新たなトークン化ファンドを発表。
- BNYはカストディおよびファンドサービスを提供する。グローブはガバナンスの承認を待って、1億ドル（約153億円、1ドル153円換算）のアンカー投資を予定している。
- 現実資産のトークン化が成長する中、セキュリタイズは上場計画を発表。
現実資産（RWA）への投資意欲が急速に高まる中、トークン化専門企業のセキュリタイズ（Securitize）は、57兆ドル（約8720億円）規模の金融サービス大手BNYメロン（BNY Mellon）と提携し、トークン化されたクレジットファンドを立ち上げた。
29日のプレスリリースによると、イーサリアム（Ethereum）ネットワーク上で利用可能な「Securitize Tokenized AAA CLO Fund（STAC）」は、オンチェーン投資家に対し、ローン担保証券（CLO）へのエクスポージャーを提供することを目的としている。
BNYはファンド資産のカストディアンとして機能し、投資運用はBNYの子会社で債券およびストラクチャード・ クレジット戦略に特化したインサイト（Insight）が担当する。
リリースによると、DeFiプロトコルのスカイ（Sky）のオンチェーン・クレジット特化型資本配分機関であるグローブ（Grove）が、アンカー投資家として1億ドル（約153億円）を同ファンドに投資する予定だ。
同ファンドは、トークン化された資産への需要が加速する中、最も安定したクレジット商品の一つをブロックチェーン上で提供することを目的としている。ボストン・コンサルティング・グループ（BCG）とリップル（Ripple）は、トークン化されたRWA市場が現在の350億ドル（約5兆3550億円）から拡大し、2033年までに18兆9000億ドル（約2891兆7000億円）に達する可能性があると予想している。
CLOは、企業向け融資をリスクレベルの異なる複数のトランシェにまとめて証券化したものだ。最も安全性の高いAAA格のトランシェは、変動金利エクスポージャーを提供し、通常は機関投資家にとって魅力的だ。
歴史的に、これらの投資へのアクセスは困難であったり、決済に時間がかかったりしていた。ファンドの持分をトークン化することで、決済の迅速化、流通の改善、分割所有の容易化が可能になり、こうした状況を変えることができる。
「利回りを求める顧客にとって、トークン化は、効率的で透明性の高い手段で高品質なクレジットへのアクセスを向上させる優れた方法だ」とBNYインベストメンツ・アンド・ウェルス（BNY Investments and Wealth）のグローバル責任者、ホセ・ミナヤ（Jose Minaya）氏は述べた。
セキュリタイズはこれまで、株式やファンドなどのトークン化された資産を45億ドル（約6890億円）相当発行しており、これにはブラックロック（BlackRock）のトークン化マネーマーケットファンド（MMF）「BUIDL」も含まれる。
同社は今週、12億5000万ドル（約1910億円）の評価額で、キャンター・フィッツジェラルド（Cantor Fitzgerald）傘下のSPAC（特別買収目的会社）と合併して上場する計画を提出し、米国初のエンドツーエンドトークン化企業として上場することを目指している。
｜翻訳・編集：廣瀬優香
｜画像：セキュリタイズのCEO、カルロス・ドミンゴ氏（Securitize, modified by CoinDesk）
｜原文：Securitize Rolls Out Tokenized Credit Fund with BNY on Ethereum
