ネイルサロン「FASTNAIL」を運営する東証グロース上場のコンヴァノは11月21日、取締役会において事業戦略および財務戦略の再構築を決議したと発表した。
同社によると、これまで推進してきたビットコイン(BTC)を活用した財務戦略を転換し、AI・ヘルスケア・M&Aを中心とした本業成長へ経営資源を再集中させる方針だという。
同社の暗号資産事業は、2025年7月17日の取締役会で決議された総額4億円のビットコイン購入計画から本格的に始動した。
同社取締役兼BTC保有戦略室長の東大陽氏は、9月のCoinDesk JAPANのインタビューにおいて、当時この動きを「2027年3月期までに2万1000BTCを取得する」という財務補完計画の一環とし、企業価値向上を目指す「攻めの財務戦略」であると位置付けていた経緯がある。
関連記事:円安リスクを逆手に、コンヴァノが仕掛ける国内屈指のビットコイン戦略──ネイルサロン企業が描く2万1000BTC取得への道【保有戦略室長・東取締役インタビュー】
しかし今回の発表によれば、当初掲げていた最大2万1000BTCの取得を目指す大規模なディーリング戦略は、想定以上に市場ボラティリティが高いことを踏まえて計画変更に至ったとのことである。
実際、足元のビットコイン価格は高値圏から大きく値を崩す展開が続いており、急速な相場下落が同社の戦略見直しに影響を与えた形だ。
これに伴い、BTC購入へ向けていた資金は事業成長投資へ再配分され、新株予約権など希薄化を伴う調達についても停止すると説明されている。
保有状況に関しては、2025年10月18日から11月21日の期間に97.6775BTCを追加取得しており、同日時点での累計保有数は762.67758328BTC、累計取得原価は約131億円となったことが明らかにされた。
こうした「戦略の修正」は、国内の他のビットコイン保有企業にも見られる傾向だ。リミックスポイントは10月23日、株主価値の保護を理由に、暗号資産取得を目的とした新株発行による資金調達の停止を発表した。
また、国内における企業によるビットコイン保有の先駆的存在であるメタプラネットも、10月1日の購入報告以来、約2カ月にわたり新規の購入公表が途絶えている。
かつてのような国内上場企業による急速かつ積極的なビットコイン買い集めの動きは、市場環境の変化とともに一服感を見せ始めている。
|文:栃山直樹
|画像:「FASTNAIL」ウェブサイトから(キャプチャ)


