ビットコイン、急反発の理由は──FOMC前に米個人投資家の買い加速
  • ビットコインは一時、4%上昇して9万5000ドルに迫った。予測市場Kalshiでは12月のFRB利下げ確率は97%。
  • ファンドから60億ドルが流出し、企業による購入が減速しているにもかかわらず、米国での需要が上昇している。
  • 10日のFOMCの決定を前に、米国では高価格でのビットコイン現物の購入が増えたことで、コインベース・プレミアムがプラスに転じた。

ビットコイン(BTC)は12月9日、米国での取引開始から最初の8時間で4%上昇し、一時9万5000ドルに迫った。背景には、FRBの利下げ期待が決定的に優勢に転じたことがある。

強気センチメントを裏付けるように、予測市場Kalshi(カルシ)では、25bpの利下げ確率は97%となり、2890万ドル(約45億4000万円、1ドル=157円換算)がその予測に投じられた。11月20日、政策当局が過去最長の40日間にわたる米政府機関のシャットダウンによる深刻な景気悪化を警告した後、利下げ確率が32.9%まで低下したことからの急反転だ。

〈予測市場Kalshiでは、0.25%利下げの確率が97%に。出典:Kalshi.com Dec 9, 2025〉

ビットコインの上昇は、大規模なレバレッジ解消につながった。データプラットフォームCoinglassを見ると、強制清算額は合計3億9300万ドル(約617億円)にのぼり、そのうちショートの清算は3億1000万ドル、ロングは8400万ドルとなった。取引時間内のポジション状況は、FRBの決定による明確なストレスを示していた。

〈9日、米国取引時間中の数時間で、清算額は2億8600万ドルを超えた。出典:Coinglass〉

Coinglassのリアルタイムデータによると、3億9300万ドルの清算のうち、2億8637万ドルが9日の最後の4時間で発生した。

60億ドル流出の一方、米国では「買い」が加速

ビットコインは11月の安値8万2000ドル付近から回復し、当記事執筆時点、月初来4%上昇となっている。現在の需要は、米国在住のトレーダーが支えている。CryptoQuantの「Coinbase Premium Index」が最も明確なシグナルだ。同指標は、主に米国在住者が利用する暗号資産取引所Coinbaseと、グローバルでの個人投資家の流動性を反映するBinance(バイナンス)との価格差を追跡する。

〈Coinbase Premium Indexは8日、プラスに転じ、0.02%付近となった。出典:CryptoQuant〉

同指数は11月20日の−0.11から現在は+0.02付近へと上昇し、米国内の持続的な買い圧力を示している。このパターンは通常、FRB会合前など、主要なマクロ要因を前に発生する。

〈11月20日〜12月9日、企業、ETF、信託からのビットコイン流出額は6万4839BTC。出典:CryptoQuant〉

一方、プレミアムの上昇とは対照的に、ビットコインを保有する企業は価格が10月6日の史上最高値12万6000ドル超から下落した後、保有量を減らし始めている。

CryptoQuantのファンド保有量チャートによると、企業、ETF、信託が保有するビットコインは、10月11日の140万0140.7BTCから、当記事執筆時点では133万5301.7BTCへと減少。この期間に6万4839BTC、約60億ドル(約9400億円)相当が売却された。

最大のビットコイン保有企業のStrategy(ストラテジー)でさえ購入ペースを落としている。同社の直近の購入は12月1日の130BTC。これは3月以来で最も小規模で、ストラテジーのような大口投資家が今回の価格上場に寄与していないとの見方を裏付けている。

つまり、Coinbaseで確認されたビットコイン需要の急増は、企業のバランスシート拡大ではなく、米国の個人投資家が牽引していることを示している。

なぜ個人投資家はビットコインを購入しているのか

米国でビットコイン需要が高まっている要因のひとつに、取引所へのアクセスの改善がある。Coinbaseは12月1日にニューヨーク在住者の暗号資産スイ(SUI)の取引を可能にした。Robinhood(ロビンフッド)は8日、米国ユーザー向けの新しい取引ツールを導入した。

決済インフラの進化も寄与している。JPモルガンのステーブルコイン「JPMD」や、リップルの「RLUSD」などの新興プレーヤーが登場し、米国在住者の暗号資産アクセスをより容易にしている。

米国の著名な金融アドバイザーによる年末の強気ガイダンスも要因となっている。今週、Bank of America Private Bankのチーフ・インベストメント・オフィサーであるクリス・ハイジー(Chris Hyzy)氏は、顧客向けに暗号資産の最大4%のエクスポージャーを推奨すると発表した。これは10月に発表されたMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)のガイダンスと一致する。

12月の「サンタ・ラリー」への思惑もあるだろう。

12月4日に発表されたCoinbase Institutionalのリサーチレポートは、M2マネーサプライの上昇、利下げ後のドル調達コスト低下、AI主導の株式バブル懸念を指摘し、年末の株式市場のボラティリティに対するヘッジとしてビットコインを選好する動きが強まっていると述べた。

London Crypto Clubのアナリスト、デビッド・ブリッケル(David Brickell)氏とクリス・ミルズ(Chris Mills)氏も同意見を示した。英国でデジタル資産が法的な財産として認められたことに触れつつ、8日のニュースレターでビットコインの12月の力強い上昇を予測している。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|トップ画像:CryptoQuant

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