金融庁、IEO投資上限や銀行の保有解禁を明記──暗号資産WG、最終報告書を公表

金融庁は12月10日、金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ(WG)」の報告書を公表した。

その内容は11月26日の第6回会合で示された「報告書案」から実質的な変更はなく、暗号資産(仮想通貨)規制の根拠法をこれまでの資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移行する方針が正式に決定された。

今回の報告書は、7月から半年間にわたり議論されてきた論点に対し、一つの回答を示したものといえる。

第2回、第3回の会合では、国内IEO(Initial Exchange Offering)後の価格低迷などを背景に、委員から投資対象としての適格性を問う厳しい意見が出た。

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これを受け、最終的な報告書では、発行者や交換業者に対しホワイトペーパー等を通じた情報開示を義務付けるとともに、投資家保護のための具体的な歯止めも盛り込まれた。

特に、発行者が監査法人による財務監査を受けていないケースなどでは、株式投資型クラウドファンディングを参考に、個人の投資額に上限を設ける方針が明記されている。

また、第4回会合で議論された銀行や保険会社本体による暗号資産の保有については、投資目的であっても十分なリスク管理態勢が整備されていることを前提に容認する方向性が確認された。

銀行・保険会社の子会社については、「暗号資産の発行・売買等も可能」と明記された。

[金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ 報告 概要より]

あわせて、第5回会合で新たな論点として浮上したレンディング(貸借)サービスについても、金商法の規制対象とし、信用リスク等の管理を義務付けることとされた。

一方で、同回会合において業界団体から「事業の継続が困難になる」との懸念が示された規制コストの問題については、交換業者に対して第一種金融商品取引業相当の規制を適用する方針が維持された。

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報告書では、不正流出への備えとしての責任準備金の積立て義務化など、利用者保護を最優先とする姿勢が貫かれている。

ただし、過度な負担によりイノベーションが阻害されないよう、法令と自主規制の適切な組み合わせに配意することも付記されており、実務面での運用バランスは今後の制度設計に委ねられた形だ。

本報告書は今後、金融審議会総会および金融分科会において報告される。

CoinDesk JAPANが以前、金融庁に確認したところによると、同庁は今後のスケジュールについて「(暗号資産の法律改正は)早期の国会提出を目指しており、通常国会に法案を出す時の過去の例では、年内中に報告書をまとめているケースが多い」とコメントしていた。

今回、その通りのスケジュールで報告書が公表されたことから、年明けの通常国会での法案提出に向けた動きが本格化するとみられる。

|文:栃山直樹
|画像:Shutterstock

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