ビットコインの「実現時価総額」、1兆ドル超の過去最高水準を維持──4年サイクルに疑問符
  • ビットコインのいわゆる実現時価総額は、過去最高の1兆1250億ドル(約175兆5000億円、1ドル155円換算)に達し、直近の36%の価格調整局面においても上昇を継続。
  • ビットコインは追い風となるマクロ環境を過小評価しており、堅調な経済成長とよりハト派的なFRBの姿勢がさらなる上昇を促し、4年サイクルのフレームワークを揺るがす可能性があると、ビットワイズのアンドレ・ドラゴシュ氏は主張。

ビットコイン(BTC)の「実現時価総額」は過去最高の1兆1250億ドル(約175兆5000億円)に達しており、過去10週間で価格が40%近く下落したにもかかわらず、ビットコインが依然として強気相場にあることを示唆している。

このオンチェーン指標は、ビットコインが最後に移動された時の価格で各コインを評価し、総時価総額のような投機的な価格変動ではなく、実際の資本流入を浮き彫りにする。

Glassnode(グラスノード)のデータによると、実現時価総額は、ビットコインが10月の史上最高値から36%調整した局面でも上昇を続けたが、最近は1兆1250億ドル(約175兆5000億円)付近で停滞している。2025年4月の関税騒動の際にも同様の停滞が見られ、その時ビットコインは7万6000ドル付近で底値を付けた後、新たな高値を更新した。

2022年の弱気相場では、投資家がキャピチュレーション(投げ売り)してコインがより低いコストベースで売却される中で、実現時価総額は約4700億(約73兆3200億円)ドルから3850億ドル(約60兆600億円)に減少した。だが現時点では、このような反応は見られない。

4年サイクルのナラティブに疑問符

Bitwise(ビットワイズ)の欧州リサーチ責任者であるAndre Dragosch(アンドレ・ドラゴシュ)氏は、米CoinDeskに対して、ビットコインは4年サイクルのナラティブに反し、2026年に上昇サプライズを起こす可能性があると語った。同氏は、堅調な世界経済成長と継続的な利下げが相まって、イールドカーブがスティープ化して流動性が拡大すると指摘。これらは全て米ドルを弱体化させる可能性のある条件であり、米ドルの弱体化は歴史的にビットコインにとって有利な環境だと述べた。

「私の見解では、米国に景気後退の兆候はなく、成長が再加速している証拠があるにもかかわらず、ビットコインは現在のマクロ経済環境を大きく過小評価しており、これはコロナ禍の景気後退とFTX崩壊時に見られた水準に匹敵する」とドラゴシュ氏は述べた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:ビットコインの実現時価総額(Glassnode)
|原文:Bitcoin’s ‘realized cap’ holds at record high over $1 trillion, casting doubt on four-year cycle

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