暗号資産(仮想通貨)指数プロバイダー大手、CF Benchmarks(CFベンチマーク)は、最新の資本市場想定フレームワークで、ビットコイン(BTC)の価格が2035年までに142万ドルに達する可能性があると予測している。
CFベンチマークの報告書「Building Bitcoin Capital Market Assumptions」では、伝統的な資本市場モデルを基にビットコイン価格の将来を推計している。その中で、同社のリサーチ責任者、Gabriel Selby(ガブリエル・セルビー)氏は以下の5つを予測の主な根拠として挙げた。
価値保存市場でのシェア拡大: ビットコインは成長を続ける「世界の価値保存市場」において、2035年までにゴールド(金)の時価総額の約3分の1に達すると予測している。
構造的なボラティリティの低下: 機関投資家の参入に伴い、ビットコインのボラティリティ(価格変動性)は今後10年間で段階的に低下する。現在の高い水準から、2035年には現在の28%程度まで落ち着くと試算されている。
高い期待リターン: 他の伝統的資産と比較してBTCのリターンプロファイルは依然として高く、年平均リターン(CAGR)は30%前後に達すると予測されている。
マネーサプライへの感応性: 供給がプログラム的に制限されているビットコインはインフレ耐性を持つと見なされ、世界的な法定通貨の供給量(マネーサプライ)の動向に対するヘッジとしての機能がより強化されるとしている。
ポートフォリオへの分散効果: 株式や債券といった伝統的資産との相関が低いため、マルチアセット・ポートフォリオに2〜5%組み込むだけで、運用の効率性を劇的に改善できる「魅力的な追加資産」になると分析されている。
CFベンチマークの予測は、3つのシナリオに分けられる。最も保守的な弱気のシナリオでは、ビットコインがゴールドの約16%のシェアにとどまり、2035年に約63万7000ドルとなると見積もっている。一方、基本シナリオは前述の約142万ドルだ。さらに強気なシナリオでは、ビットコインがゴールドの市場規模そのものを超える存在となり得るとし、2035年には約295万ドルに達する可能性を示唆している。
このレポートは従来の短期的な価格予想ではなく、長期的な資本市場の枠組みでビットコインを分析した点に特色がある。機関投資家の参入や規制の明確化、流動性の深化が進む中で、ビットコインはポートフォリオ戦略における重要な位置を確立する可能性があるとCFベンチマークは結論付けている。
|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
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