トークンエコノミー理解のための最初の一歩

トークンエコノミー理解のための最初の一歩

暗号資産関連の報道をしてきた中で、最も大きな「なるほど!」の瞬間について話をしたい。あれはおそらく、その日以来、すべてのことの意味が理解できるようになった「納得」の瞬間であった。

次の疑問への答えが出たのだ。「デジタルトークンは、オンラインプロダクトを開発するためにチームが何年も費やして、価値のある新しい方法をいかに生み出してきたのか?」

新規コイン公開(ICO)の時代に詳しくない人のために、大幅に単純化して説明しよう。オープンソースで、ユーザーにプラットフォーム手数料を課さないサービスを開発するための資金を調達している人たちがいた。彼らはトークンを販売して資金調達を図ったが、それは会社の株式ではなく、一般的には、新しいサービスの一部へのアクセスを可能にしてくれるものだった。

トークンには多くの形態があるが、最もシンプルなのはこのような形だ。ICOスタートアップの大半は、何らかのマーケットプレイスを構築し、サービスが必要な人たちと、それを提供できる人たちがつながれるようにした。マーケットプレイス自体は手数料を課さないが、ネイティブトークンのみで取引が可能となっていた。

このマーケットプレイス構築のための手数料を取らないという部分が、私を困惑させ続けていた。作り手はどのように利益を出すのか?

eBayのようなオークションサイトを分散型で作っていた創業者と話している時に、すべてが腑に落ちた。大きなセールスポイントは、プロトコルは商品の出品を可能にし、出品やプロトコルが入札を管理するのに対して、誰にも料金を課さないという点だった。

明らかにこれは、ユーザーにとってはとても良い条件だが、開発チームにとっては、多くの時間とお金を費やすことがどうして理にかなっているのか?

しかし、それこそが、ICOモデルの賢いところなのだ。作り手たちがゆくゆくは離れていき、自ら運営するのに任せることのできる、価値あるものを開発するインセンティブを生んだのだ。

この点が理解できれば、他のトークンプロジェクトを理解するのもかなり簡単になる。

EthBay

単純な分散型eBayを想像してみよう。「EthBay」と名づけることにする。

EthBayで出品するには、売り手は一定数のEthBayトークンを保有する必要がある。販売のために支払う必要はないが、出品を続ける限り、トークンを購入して、保有していることをEthBayに証明しなければならない。販売が終われば、出品者は自由にトークンを売ってしまうことができる。

大半のプロジェクトは、プロトコルの決済手段としてのトークンというアイディアにすばやく見切りをつけた。ユーザーにとってあまりに多くの摩擦を生み出したからだ。

しかし、トークンのステーキングを義務付けることは、ユーザー保護のために使うこともできる。悪質業者は、ステーキングしたトークンを失う可能性があるからだ。

ステーキング要件はトークンに対する需要を生み出し、「トークン流通速度」を遅くする。「トークン流通速度」とは、新しい人がトークンを獲得してから、売却されるまでのスピードのことだ。(注:トークン流通速度が遅いと、需要がある限り価格は高まるはずだ)

もちろん、出品する数が多ければ、より多くのトークンが必要となる。そしてゆくゆくは、(仲介サービスなど)利用するのにトークンが必要となる他のサービスもEthBay上に構築されることになる。

純粋なICOのアイディアは次のようなものだった。チームは、自分たちが納得する有限の数のトークンを生み出し、その一部は初期に受け入れる人たちを惹きつけるための賞金や宣伝に使うために取り分け、一部はチームと投資家のために取り分け、一般に販売する分も取り分ける。

一般への販売は、事業を軌道に乗せるための事業資金として使われる。開発が成功し、ユーザーが集まれば、トークンの価値は上がり始める。

ここで「なるほど」の瞬間が訪れる。

理論的には、トークンの価値の高まりが、創業者やチームの努力に対する報いとなるはずなのだ。優れた製品を作れば、自分たち用に取り分けたトークンはICO時の10セントから、チーム解散の頃には1ドルになるはずだ。

しかしそれは、ユーザーが使いたがるマーケットプレイスを完成した製品が生み出せた場合のみだ。

ほんの始まり

私がこれを理解できた時、トークンはまだ新しいコンセプトであった。ゲームセンターのコインと考えればいいのか、レシートなのか、保険なのか、ライセンスなのか、人々は分かっていなかった。実際には、トークンはいまや、これらすべてであり、それ以上のものだ。

それでも、暗号資産界の新しいプロジェクトがよく理解できない時にはいつでも、そのコンセプトの中でトークンの立ち位置はどこなのか、作り手たちはそのトークンにどのように価値が生まれると思い描いているのか、そのトークンが、作り手としての自らの仕事に価値があるといかに感じさせてくれているのかを、想像してみることにしている。

そのようにして新しいプロジェクトを見ることで、不可解さの度合いがずっと減ることを私は発見した。

ICOの時代は過ぎ去ったかもしれないが、私がなるほどとあの瞬間に思ったことには、今でも意味がある。

この最初のアイディアに複雑さとイノベーションを加えると、これまでにこの業界で生まれたおびただしい企業の出来上がりだ。実際には、上記のモデルを使う人は基本的に誰もいないが、アイディアはそこから始まったのだ。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:The Node: The First Step to Making Sense of the Token Economy

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