北米が東アジアを抜いて世界2位の暗号資産市場に──DeFiの急拡大がけん引:チェイナリシス

DeFi(分散型金融サービス)の急拡大で、北アメリカが世界第2位の暗号資産(仮想通貨)市場となった。暗号資産取引のリスク分析を手がけるチェイナリシス(Chainalysis)がまとめた調査レポートでわかった。

チェイナリシスのレポート「2021 Geography of Cryptocurrency Report(仮訳:暗号資産の地理・2021年版)」によると、北アメリカに存在するアドレスが2020年7月~2021年6月の1年間で受信した暗号資産は、7500億ドル(約85.8兆円)で、世界の総取引量の18.4%を占め、中央ヨーロッパ・北欧・西欧を合わせた欧州地域の1兆ドルに次いで2番目に大きかった。

(緑色は北米、赤色は東アジア、紺色が欧州)

昨年7月から今年5月までの間の北米における一月当たりの取引量は、144億ドルから1640億ドルに増加。そのうち、DeFiが占める割合は37%に拡大し、取引総量の急増の要因となった。

同期間で最大の取引量を記録した取引所は、DeFi取引プラットフォームのユニスワップ(Uniswap)で、コインベース(Coinbase)と分散型取引サービスのdYdXはユニスワップを追うかたちとなった。

中国政府が同国の暗号資産取引とマイニング事業に対する規制を強めた今年5月には、北米と東アジアのそれぞれの地域における取引量は大きく減少した。中国は国内規制が強化される前までは、ビットコインのマイニングにおいては世界最大国で、取引においてもコア市場の一つであった。

弱まる東アジアの存在感

また、チェイナリシスの報告書によれば、東アジアが世界の取引量に占める割合は、2020年4月頃から低下。背景にあるのは、中国政府による段階的な取り締まり強化の動きで、中国は同時期から中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタル人民元」の大規模試験を開始した。

チェイナリシスは、暗号資産の採用・導入状況を示す指標「Global Crypto Adoption Index」をまとめているが、中国の同指標における世界ランキングは昨年7月の4位から、今年5月には13位に低下。韓国は同期間で17位から40位に、香港は23位から39位に下落した。日本は71位から80位にランクを下げた。

|抜粋翻訳:coindesk JAPAN
|編集:佐藤茂
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|原文:DeFi Pushes North America to Become World’s Second-Biggest Crypto Market