パンケーキからマイニングへ:業績不振から事業転換する企業が再び増加

パンケーキからマイニングへ:業績不振から事業転換する企業が再び増加

ビットコインをマイニングするのと、パンケーキの生地を売るのでは、どちらが難しいだろうか?ネイツ・フーズ(Nates’s Foods)はその答えを、まもなく知ることになるだろう。

カリフォルニアにある、あまり知られていない上場企業のネイツは10月25日、最も古く、時価総額最大の暗号資産ビットコイン(BTC)のマイニングを開始したと発表。

缶詰入りのパンケーキとワッフルの生地というこれまでの製品に見切りをつけ、1秒に500テラハッシュというスピードで新しいビットコインを獲得するために、ビットメイン(Bitmain)製のマイナーをリースした。

ネイツは2年前のモデルS-17マイナーを使って、演算能力であるハッシュレートを毎秒1500テラハッシュまで強化する計画だ。同社では、ひと月に約1万7060ドルの収益をマイニング事業から見込んでいる。

そうなれば、パンケーキと同じくらい薄い利益しかもたらしてこなかった食品ビジネスからの、ステップアップとなる。ネイツは、財務報告を行なった時期としては、8月31日までの四半期の売り上げがゼロだった。

OTC(相対取引)市場で取引されているネイツのペニー株は、9月30日にビジネスモデルの劇的なシフトを発表して以来、3倍以上値上がりした。

ネイツは、様々な業界からマイニングやその他の暗号資産(仮想通貨)関連の事業へと方向転換、あるいは多角化を行った多くの企業の最新の例に過ぎない。2017年の強気相場で初めて見られたこのトレンドは、ビットコインが史上最高値付近で取引され、かつて世界のマイニング中心地であった中国での取り締まりによってマイニングの競合が減る中、復活している。

転換には失敗も成功も

手厳しい解釈をすれば、そのような動きは、落ち目企業の株価を吊り上げるための策略に過ぎない。2017年のブロックチェーンブームに乗ろうとした試みが失敗したロング・ブロックチェーン(旧ロング・アイランド・アイス・ティー)社は、その一例で、ブーム時の行き過ぎの典型となってしまった。

同社株は、ブロックチェーン企業への転換の失敗により、最終的に上場停止。米証券取引委員会(SEC)は、3名をインサイダー取引で告発した。

しかし上手くやれば、マイニングへの方向転換は成功する可能性もある。その会社のそれまでの事業が、暗号資産とは無関係のものであったとしてもだ。

例えば、バイオプティックス(Bioptix)という名のバイオテック企業であったライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)は2017年、社名とビジネスモデルの変更に踏み切った。現在では、時価総額は20億ドルを超え、上場暗号資産マイニング企業としては有数の存在だ。

ネイツ・フーズは、CEOのネイト・ステック(Nate Steck)氏が、他のOTC上場企業がマイニングに参入するのを見て、マイニングへと事業転換を図った。新型コロナウイルスのパンデミックによるサプライチェーンの危機のような事態が、再び降りかかることから会社を守りたかったと、ステック氏は語った。

「モノやサービスにまつわるゴタゴタから遠ざかりたかった」とステック氏。そこでマイニングコンサルタントに連絡し、株主価値と収益の増大にすぐに結びつくものを検討した。

「重要なのは、暗号資産マイニングなら、投資に対してすぐにリターンが得られるという点だ」と、ステック氏は語る。「コインプラットフォームにおけるチャンスが、インターネットの初期に似てくるに連れ、将来的なプロジェクトが育っていく」

ネイツは新たな重点事業を反映させるように、ネイツ・マイニングという子会社とツイッターアカウントを作った。

暗号資産マイニングに最近転換したその他の企業を見てみよう。中国のスポーツくじ企業500.com(ニューヨーク証券取引所ティッカー:WBAI)は1月、ビットコインマイナーの購入を開始すると発表し、その取り組みを強化し続けてきた。

配送会社シノ・グローバル(SINO)は2月、ビットコインマイニング参入の指揮をとる幹部を採用。4月には、フロリダにある長寿や健康のための製品メーカー、グレイストーン・カンパニー(GYST)が、財務状況改善のためにビットコインマイニングへの参入を発表した。

高い収益性に魅せられて

企業が損失を出したり、持続可能なビジネスモデルを持っていない場合、暗号資産マイニングへのシフトは驚くべきことではない。投資企業ジェフリーズ(Jefferies)のアナリスト、ジョナサン・ピーターセン(Jonathan Petersen)氏によれば、ビットコインマイニングは短期間で投資の元金を回収できる。

「今年は、中国でのマイニング禁止で競合が減ったことと、世界規模でのチップ不足によって、配備される新しいマイニング機器に限りがあるため、北米ではBTCマイニングに最高の環境が整っている」と、ピーターセン氏は指摘した。

投資企業DAデビッドソン(DA Davidson)のアナリスト、クリストファー・ブレンドラー(Christopher Brendler)氏は、安価な電力を利用できる「クラス最高の」マイニング機器であれば、ビットコイン価格が約50000ドルであっても、1ビットコインをマイニングするコストは平均で5000ドル、粗利益は90%にもなると予測している。

ブレンドラー氏の推計によると、マラソン・デジタル(Marathon Digital)などのマイナーにとって、運営費を除いた利益は2021年には89.6%、2022年には90.8%だ。

「それだけの利ザヤを見れば、企業が暗号資産マイニング事業を始めようとする理由は簡単に理解できるだろう。しかし、事業転換を本当に収益性のあるものにするためには、長期的な戦略が必要となる」と、コンパス・マイニング(Compass Mining)のザック・ボエル(Zack Voell)氏は話す。

「現在の市場の状況では、ほとんど誰にとっても、ビットコインマイニングは非常に収益性の高いものだ。しかし、現在の収益性を見て大規模なマイニング事業に資金を急いで出せば、悲惨な結果を招く可能性もある」とボエル氏は語り、マイナー志望の人たちに「FOMO」(機会を逃すことへの恐怖:fear of missing out)に抗う(あらがう)よう警告した。

「暗号資産マイニングに手を出そうとする企業は、FOMOを無視して、複数年にわたる事業戦略を準備するべきだ」と、ボエル氏は述べた。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:From Pancake Batter to Bitcoin Mining: Struggling Businesses Try 2017-Style Pivots

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