2022年の暗号資産業界、6つの予測:Pantera Capital パートナー

2021年は暗号資産(仮想通貨)にとって、きわめて特別な年だった。DeFi(分散型金融)が1000億ドル(約11兆円)以上の産業となり、ビットコイン(BTC)が約6万9000ドルの史上最高値に達し、アービトラム(Arbitrum)などのレイヤー2ソリューション、およびソラナ(Solana)などのレイヤー1ブロックチェーンのエコシステムが大きな成長を見せ、ノンファンジブル・トークン(NFT)の売上が220億ドル(約2兆5000億円)を越え、そしてこれまで以上に一般の人たちと機関投資家の暗号資産への関心が高まった。

筆者のポール・ベラディッタキット(Paul Veradittakit)氏はパンテラ・キャピタル(Pantera Capital)のパートナー。

2022年の暗号資産業界について、注目すべき6つの予想を紹介したい。

レイヤー2とロールアップ:イーサリアムブロックチェーン上に構築されたロールアップ・プラットフォーム──アービトラム(Arbitrum)やスタークEx(StarkEx)など──は、悪化するイーサリアムブロックチェーンの混雑問題に対する即効的かつ長期的ソリューションとして引き続き支持を集める。

レイヤー1とビットコイン:ソラナやバイナンス・スマート・チェーン(Binance Smart Chain)などのレイヤー1ブロックチェーン、いわゆる「イーサリアム・キラー」における分散型アプリケーション(dapp)のエコシステムは成長を続ける。ビットコインブロックチェーンとのブリッジによってチェーンを越えて流動性を確保し、dappをより簡単に稼働できるようになるためだ。

コンポーザビリティ(構成可能性)とWeb 3.0:オンラインエコシステム全体で統一されたユーザーエクスペリエンス(UX)を作り出すために、プロジェクト同士を結びつける新しい、強力な方法が生まれる。デジタル所有権とデータ管理の仕組みも拡がり、堅牢で実用性の高いデジタルIDの開発が進む。

NFTの拡大:ノンファンジブル・トークン(NFT)人気は、デジタルアートのエコシステムが成長するにつれて高まっていく。またゲーム、音楽、クリエイターやインフルエンサーのファンとのやり取りなどの分野でも、ユースケースが拡大する。

DAO:DAO(自律分散型組織)への理解が深まるにつれて、ユニークで魅力的なユースケースが生まれ、多くのDAOが生まれる。DAOの成長とともに、DAOの組織や機能はより複雑になり、マネジメントとオペレーションのためのツールも大きく発展する。

DeFiセキュリティ:2021年に複数のDeFiプロジェクトが大規模なハッキングを受けたことで、2022年はDeFiにおけるセキュリティがこれまで以上に注目される。ハッキングに対するセキュリティと保険に重点を置いたプロジェクトは、DeFiの安全性を高め、金融エコシステムとしてのDeFiに対するメインストリームユーザーからの信頼と信用を高める。

2021年:熱狂の1年

2021年は、暗号資産にとってこれまでで最もエキサイティングで、波乱に満ちた1年だっただろう。イーサリアムブロックチェーンの待望の「ロンドン」アップデート、ソラナエコシステムの爆発的成長、ビットコインの史上最高値約6万9000ドルなど、信じられないほどの成長とイノベーションを目の当たりにした。

同時にイーサリアムの取引手数料の馬鹿げたほどの高騰からPolyNetworkの6億ドルのハッキングまで、暗号資産の非効率性と脆弱性にも直面した。

間違いないのは、暗号資産がかつてないほど多くの人の注目を集めたことだ。毎日、数千人ものユーザーがアドレスを登録し、NFTマーケットプレイス「オープンシー(OpenSea)」で出品されたNFTを調べ、DeFiとWeb 3.0にさらにお金を投じている。

2022年、メインストリームからの注目が、暗号資産のイノベーションの方向性を導き、カバーできる領域を広げ、分散型でユーザーファーストな金融システムというビジョンの達成をどのように後押しするのか、楽しみだ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像: Shutterstock
|原文:Pantera’s Paul Veradittakit’s 2022 Predictions