米消費者物価指数(CPI)、40年ぶりの高水準は続くか──ビットコインへの影響は

ビットコイン(BTC)はインフレに対する効果的なヘッジとして機能すると何年も前から考えられている。そのためトレーダーは、12日に米労働省が発表する消費者物価指数(CPI)に注目している。

12日8時30分(米東部時間=協定世界時12日13時30分)に発表されるCPIは、すでに39年ぶりの高水準にあるインフレ率が前月からさらに加速すると予想され、注目を集めている。

予想を上回るインフレ率となった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)は今後数カ月、金融政策の引き締めを強化する可能性がある。つまり、株式からビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)まで、リスク資産には一段と下落圧力がかかるかもしれない。

FactSetは、2021年12月のCPIを7.1%上昇と推定している。CPIは11月、6.8%まで上昇し、1982年以来の高水準となった。

ビットコインは2020年に4倍に上昇し、2021年は約60%上昇した。トレーダーが、FRBの金融緩和政策は最終的に消費者物価の上昇につながると考えたからだ。

だが、インフレ率が上昇し、FRBがインフレ抑制に積極的に取り組む姿勢を見せるなか、価格トレンドは逆転した。ビットコインは過去30日で13%以上下落している。

米消費者物価指数(CPI)の推移(米労働省労働統計局)

以下、12日のCPIに対する専門家の予想を見てみよう。

  • Deloitte Insightsのダニエル・バックマン(Daniel Backman)氏:「12月のCPIはかなりの高水準と考えている。(中略)だがより重要なことは、こうしたサプライチェーンへの圧力は一時的なもので、すでに緩和の兆しがわずかに表れていること。(中略)2022年半ばには、CPIは2.0%〜2.5%に収まると考えている」
  • Oandaのクレイグ・アーラム(Craig Erlam)氏:「CPIは7%を超える数十年ぶりの最水準になると予想しており、投資家心理を安心させるものではないだろう。高い数値は再び投資家を怯えさせるだろう」

ビットコインへの影響

  • ビットバンクの長谷川友哉氏:「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchによると、市場参加者の約70%が3月の利上げを予想しており、ビットコインは再び下落した場合、4万ドルを維持できるかもしれない。だが、短期的には楽観視できる時期でないことは確かだ」
  • Prosper Trading Academyのスコット・バウアー(Scott Bauer)氏:「ビットコインは、リスクオフによる下落懸念が前面に出ている。レバレッジが徐々に洗い流されつつあり、機関投資家の買いの準備が整ったように思える。この数週間のビットコイン下降は取引高が少ないなかで起きており、大きなショートカバー(売りポジションの買い戻し)が起こる可能性がある」

「12日(日本時間22時30分)に発表されるCPIのデータを読み解くうえで重要なことは、数字に注目することよりも、現在のインフレの根本的な原因を理解すること」とアーラム氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:米消費者物価指数(CPI)の推移(米労働省労働統計局)
|原文:Traders Will Be Watching if December CPI Confirms Inflation at 4-Decade High