2022年はイーサリアムの年になる【オピニオン】

2022年はイーサリアムの年になる【オピニオン】

シーズン13を迎える頃には、大半のTVドラマ番組は最もバカげたものを残して、すべてのストーリー展開を使い果たしてしまっている。長寿ドラマにはよくあることだが、誰が誰に対してなぜ怒っているのかを覚えておくのは大変だ。

ビットコイン(BTC)だけが唯一必要なデジタル資産であり、それ以外のコインは必要ないと考えるビットコインマキシマリストたちと、イーサリアムファンによる、ミームまみれのプロパガンダから来る混乱の中において、大きなテーマを見失わないでいるのは困難かもしれない。しかし今年は、2つの包括的なテーマがブロックチェーンの世界を形作ると、私は見込んでいる。

イーサリアムの年

何よりもまず、2022年はイーサリアムの年になる。ブロックチェーンの世界で現在起こっている革新的で重要なことのほとんどは、イーサリアムエコシステムで起こっている。そして今年は、3つの主要なトレンドがイーサリアムエコシステムの成長の原動力となると、私はみている。

まず、自律分散型組織(DAO)は、コミュニティーや活動、企業が単独の形態に収束していくあり方を象徴している。DAOが登場するようになってしばらく経つが、2022年には、新しい組織を構築していくのに好まれる形態として、DAOが主役になっていくだろう。

人々がステーキングによって投票権を行使したり、特定の話題に関する専門家に自らの投票権を委譲することにより親しむにつれて、DAOガバナンスが成熟していく非常に重要な1年にもなるだろう。長期的には、伝統的市場における株主革命も始まるかもしれない。

次に、分散型金融(DeFi)エコシステムがメインストリームの金融と統合を続けるだろう。私は以前、2021年末までには、少なくとも1つの既存の主要中央集権型金融(CeFi)組織が、ユーザーにDeFiエコシステムへのアクセスを提供するだろうと(誤った)予測をしていた。その予想を2022年末までと、更新したい(まったく無しよりは遅い方がマシ)と思う。

さらに、企業が中央集権化の要素を加えずに規制要件を満たそうと取り組むに伴い、顧客確認(KYC)のレイヤーをDeFiに加える、分散型の身元情報管理要素も登場すると見込んでいる。

3つ目、そしてこれが最も重要なことだが、イーサリアムエコシステムの大詰めが今や目に見えている。プルーフ・オブ・ステークへのイーサリアムの移行と、より広範なレイヤー1からレイヤー2へのユーザー側の移行が現在進行中だ。

2022年末までには、イーサリアム自体が主に、他のブロックチェーン(レイヤー2ネットワーク)が互いにやり取りをするのに使われるブロックチェーンとなっているだろう。マルチチェーンの未来は、イーサリアムの未来なのだ。

これは、驚くべきことではない。インターネットも同じような状況だ。TCP/IPという通信プロトコルは、インターネットにとって標準的なネットワーキング言語であるだけではなく、ほとんどすべてのプライベートネットワークの標準ネットワーキング言語にもなっている。

インターネットの初期にはTCP/IPは、DECnet、Systems Network Architecture(SNA)、XNA、NetWare、VINES、Token Ringなどの企業独自プロトコルの世界を含めて、異種なネットワークの混在する世界をつなげるのに使われていた。

時間と共にネットワークは標準化され、現在では実質的にすべて同じになっている。現在のインターネットはおおむね、TCP/IPネットワークが他のTCP/IPネットワークをつなぐ形だ。同じようなパターンが、ブロックチェーンでも繰り返すことが見込まれる。

ほんの始まり

ここで、2022年の2大テーマの2つ目の登場だ。始まりの終わりである。一般への普及という、おそらく10〜15年にわたる長くて素晴らしい未来が待っている。終わりを迎えるのは、このような普及が起こる主要なプラットフォーム、そしてエコシステムにおける最大で最も持続力のあるプレイヤーが誰になるのかに関する不透明感だ。

最初の主要な勝利者は、イーサリアムエコシステムそのものだ。どのエコシステムがレイヤー2の戦いに勝つのかについては、まだ大きな不透明感があるが、レイヤー2で誰が勝つかに関わらず、イーサリアムエコシステムは勝利を収める。

開発者のスキルと、参加している資本の両方において、イーサリアムの絶対的優位は反論が難しいものであり、他のプラットフォームはイーサリアムを引きずり下ろすには遅すぎると、私は考えている。

2つ目の大きな勝利者は、とりわけDeFi、DAO、そしてノン・ファンジブル・トークン(NFT)における、イーサリアムエコシステムネイティブのマーケットリーダーたちだ。

あらゆるエコシステムは、普及を促進する「キラーアプリケーション」を必要とするが、イーサリアムは普及と成長をこの先何年もけん引していく少なくとも3つのキラーアプリケーションを見つけたのだ。

一般への大規模な普及はまだ最初期の段階にあるが、上記の市場において力強い地位をすでに確立した企業やDAOが、この先の成長による恩恵の大半を手にする可能性が高い。

テクノロジーエコシステムの歴史を振り返れば、市場が一般への普及の段階に入ると、初期のリーダーたちを押しのけるのが極めて困難であることが見えてくる。

パソコン、スマートフォン、ネットワーキングツールにクラウドコンピューティング。これらすべてが同様のパターンを辿っている。始まってから10〜20年経った後でも、初期のマーケットリーダーたちが最大のプレイヤーであり続け、成功した新規参入者が勢いをつけることも時にあるが、それは非常にまれだ。

現在私たちの知っている最大規模のDAOやプロトコルが、30〜50%の年間成長を15年間続けた後にどうなっているかを想像してみよう。そのような成長スピードで行けば、現在よりも50〜100倍に成長する可能性もあるのだ。

最後に、今年大きな勝ちを収めると私が考えている存在がもう1つある。規制当局だ。

規制当局への非難は、SNSでは楽しい遊びになるかもしれないが、エコシステムの参加者すべてが、ルールについての明確性を求めているのが現実だ。現状は混沌としているように見えるかもしれないが、ステーブルコインとDeFiに規制当局が熱心にフォーカスしていることは、この先の1年間に非常に好ましい変化が生まれることを示唆している。

2022年には他にもたくさんのストーリーが展開していくだろうし、ここでそれらを無視しようとしているのではないが、それらが2022年という1年全体を形作ることにはならないと考えている。

ブロックチェーンの敵となるのは?

そして最後に、未来予測も優れた物語も、悪役抜きでは完成しないだろう。

規制当局を悪役にしたいと多くの人が考えるだろうが、私はすでに彼らを、善人役で登場させてしまった。私は、2022年の悪役候補は2組いると考えている。

1組目は、映画でもお馴染みのゾンビだ。ブロックチェーン・ゾンビは、お金の山の上に座ったままで、イーサリアムによって負かされたことを認めないレイヤー1ネットワークたちだ。

彼らは、イーサリアム・キラーの成り損ないだ。静かに消えていくことを拒み、開発者たちに多額の資金を提供することで、時代遅れの存在になることに抗うだろう。

彼らの一部が、「打ち負かせないなら仲間に加わってしまえ」の精神でレイヤー2ネットワークに転換を図ったとしても、驚きではない。そのような事態はすでに起こっているが、そのような動きに今年は、新たな切迫感が伴うことが見込まれる。

ブロックチェーンの世界で最も確実な悪役は、すでにいる内部関係者たちだ。個性の強さで道を切り開き、しばしば怒りに満ちたミームに突き動かされてきた業界だ。自分たちが自らの最大の敵であるというリスクを、決して過小評価するべきではない。

この業界は、勝てもしない戦い(例えば規制当局との)を仕掛け、ソーシャルメディアで悪意のある(が大半は無害な)喧嘩をふっかけ、目立たない細部をめぐる、進展を阻むような技術的な戦いを繰り広げるという特徴を大いに抱えている。今年がそのような結末を迎えないことを願おう。

ポール・ブローディ(Paul Brody)氏:EY(アーンスト・アンド・ヤング)のグローバル・ブロックチェーン・リーダー。
※見解は筆者個人のものであり、EYおよびその関連企業の見解を必ずしも反映するものではありません。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:2022 Is the Year of Ethereum

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