警戒すべきはスタグフレーションか──暗号資産に与える影響は?

世界がパンデミックからの回復に取り組むなか、経済的に起こり得る最悪の事態がインフレだと思っているのなら、スタグフレーションに備えよう。

この言葉は1970年代以降、あまり登場していない。

スタグフレーションは、インフレ率と失業率が通常よりも高いにもかかわらず、経済成長がほとんどない状態を指す。アメリカ経済がスタグフレーションに陥ったのは、ニクソン大統領(当時)がアメリカを金本位制から離脱させたさせた1970年代が最後だ。

スタグフレーションは最近、経済学者やアナリストの間で再び話題になっている。多くの暗号資産投資家がビットコインをインフレヘッジと考える一方で、景気が悪化すると価格が下落するリスク資産と見る投資家もおり、スタグフレーションはすぐに我々のまわりに忍び寄るかもしれない。

暗号資産に悪影響

1960年以来、S&P500指数は四半期ごとに平均して2.5%上昇しているが、スタグフレーションの時期には2.5%下落したと元ゴールドマン・サックスのトレーダーで、現在はProsper Trading AcademyのCEOスコット・バウアー(Scott Bauer)氏は述べた。

消費者物価指数(CPI)が過去12カ月で7.5%上昇し、1982年以来、最も高いインフレ率となっている。アナリストはすでに不安を感じており、ロシアのウクライナ侵攻が事態をさらに危険なものにしている。原油価格は1バレル100ドルを超え、ロシアが主要生産国となっている他の商品価格も上昇している。

「スタグフレーションは現実」とPath Trading Partnersのチーフストラテジストで、Stock Think Tankの共同ポートフォリオマネージャー、ボブ・イアチーノ氏は語った。「暗号資産とナスダックのプラスの相関関係は時間とともにますます強まっており、スタグフレーションは確実に暗号資産市場に悪影響を与えるだろう」。

イチアーノ氏は、米国債、米ドル、ゴールド、消費財、不動産への需要は高まると予測している。また小型株(時価総額20億ドル以下の銘柄)とテクノロジー株に強気姿勢を取っている。

「スタグフレーションは歴史的に、企業が物価上昇と売上減少に直面し、利益率が低下することと関連している。スタグフレーションの時期には、防衛的な資産への需要が高くなる。金利が上昇し、経済が減速した場合、ビットコインを含む多くの資産価格は下落するかもしれない」とバウアー氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:What Stagflation Could Mean for Crypto Markets