アバランチ・サミットに3500人が集結:バルセロナ

スペインのバルセロナで今週開かれたアバランチ(Avalanche)のカンファレンスには、600ドルの参加費を払った3500人近くの人が集まった。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せる中、対面での暗号資産(仮想通貨)イベントに人出が戻ってきていることが、改めて示された形だ。

3500人という参加者数は、昨年に同じくポルトガルで開かれたアバランチのイベントの参加者数、約500人と比べると大幅に増加した。関係者によると、今回のイベントは、アバランチだけのために開催された初のイベントとなった。

「アバランチ・サミット」と題されたイベントの人気は、今年に入ってネイティブトークンのAVAXが24%値下がりしているにも関わらず、昨年最も勢いのあったブロックチェーンに対する関心が継続していることを示しているだろう。

今回のサミットへの参加者数は、昨年にポルトガルのリスボンで開かれた競合ブロックチェーン、ソラナ(Solana)のイベントに集まった2000人を超えている。

独立系投資研究企業ファンドストラット(FundStrat)のショーン・ファレル(Sean Farrell)氏は、4日間におよぶ今回のイベントにニューヨークから参加。「参加者数とイベント全体に漂うエネルギーに感銘を受けた」と話す。

「大半のトークン価格が史上最高値をはるかに下回っているにも関わらず、明らかに楽観的な雰囲気と、アバランチへの投資を続けていく意欲が感じられる」とファレル氏。「この先アバランチのサブネット(アバランチネットワーク上で独自ブロックチェーンを作り出すための機能)エコシステムを開発する開発者たちから、明確なフォーカスを感じる」

コロナウイルスの感染者数が減少し、リモートワークがますます当たり前となる中、対面でのつながりを提供するアバランチ・サミットに多くの人が参加したことは、業界のワークフローの鍵となる要素としての、暗号資産カンファレンスの復活を告げることになるかもしれない。

2月には、米コロラド州で開催されたイーサリアムカンファレンス、ETHDenverに、8500人ほどの参加者が集結した。

AVAX価格

アバランチのAVAXトークンは、2021年最も勢いのあった暗号資産の1つで、その価格は33倍にも跳ね上がった。

2022年の年初からの値下げ幅は、先週の大幅な反発がなければ、はるかに広がっただろう。相場の回復は、少なくとも部分的には、今回のバルセロナでのサミットへの期待によるものであったかもしれない。

過半数が男性となった参加者の中には、ブロックチェーンプログラマー、ベンチャーキャピタリスト、暗号資産トレーダー、ヘッジファンドの幹部、弁護士、マーケティング責任者、デザイナー、音楽家、ゲーマー、さらには政府関係者など、幅広い顔ぶれが揃っていた。

サミットの主催者によると、公式カンファレンス以外にも、30を超えるサイドイベントがあり、アフターパーティーは時には午前4時にまでおよんだ。火曜日から金曜日までサミットが開かれ、ハッカソンは週末に予定されている。

アバランチ・ブロックチェーンを支えるアバ・ラボ(Ava Labs)のマーケティング責任者デボン・フェレイラ(Devon Ferreira)氏は、参加者が対面イベントを簡単に楽しめるように、主催者側は苦心したと振り返った。

その具体例の1つが、毎日のスケジュールを正午から開始すること。このような国際的なビジネスの集まりの価値の多くが、仕事の時間が終わった後に生まれてくることに配慮してのことかもしれない。特に、ディナーを遅くにとることで有名なバルセロナにおいてはなおさらだ。

「カンファレンスから帰ってきて、3日目のプレゼンを絶賛している人なんていないことに気づいたんだ」と、フェレイラ氏は説明した。

深夜にまでおよぶ多彩なプログラム

フェレイラ氏とともにサミットの計画を立てた、アバ・ラボのマーケティング統括責任者ジェイ・クラハシ-ソフエ(Jay Kurahashi-Sofue)氏は、午前8時開始、午後5時終了でコンベンションセンターを貸し切るような、暗号資産業界で一般的となっているイベントに対するアプローチには従いたくなかった、と語った。

「リスクを冒してでも、イベントが企業っぽく感じられないようにしたかった」と、クラハシ-ソフエ氏は話す。

60の討論会に250人以上が登壇した公式のイベントは、バルセロナにある野外建築博物館「ポブレ・エスパニョール(スペイン村)」で開かれ、サミットは、屋外と屋内のステージがある1929年に作られたこの村全体に広がっていた。

アバランチのチームは「エコ・ドーム」と名づけられた赤と白の天井の構造物を設置し、パエリア、タパス、イベリコハム、新鮮なエビなどが並べられた近くに、出展者たちがブースを設営。スペインのスパークリングワイン、カバやウォッカもたっぷり用意されていた。

メインステージから離れたところには、「ゼン・ガーデン」と呼ばれるエリアも準備。マッサージを受けたり、テントの中で生演奏の音楽を聴いたり、瞑想をしたり、タトゥーを入れることもできた。

リラックスとマインドフルネスのための場を用意するのが狙いで、一連のNFT関連のアートや、羊の頭部の映像を表示した巨大TVスクリーンなど、一見意味のないような各種ディスプレイとは対比をなしていた。

フェレイラ氏は、今回のイベントの成功を、暗号資産に対する関心の増大と、アバランチが急速にイーサリアムの継承者と考えられるようになっているおかげだと考えている。

4日間のイベントで、チケットの最高額は600ドル。リスボンで11月に開かれたソラナのカンファレンス、ブレークポイント(Breakpoint)では、チケットが1000ドル、VIPパスは最大4000ドルであったことに比べると、お得なイベントと思われたようだ。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:アバランチ・サミット会場への入場を待つ参加者の長い列(CoinDesk)
|原文:Avalanche Crypto Event Woos 3.5K to Barcelona With Late Parties, Late Starts, Long Lines