米チェイナリシスが220億円調達、評価額1兆1000億円──下落相場も懸念なし

ブロックチェーン分析会社の米チェイナリシス(Chainalysis)は12日、シリーズFのラウンドで、1億7000万ドル(約220億円)を調達したと発表した。評価額は86億ドル(約1兆1000億円)。同社は2021年6月、今回の半分の評価額で1億ドルを調達している。

かつてないほどの暗号資産をめぐるハッキング、詐欺、ランサムウェア攻撃が世界的なニュースになり、暗号資産調査・追跡用ツールの需要が爆発的に増えている。同社は毎月1兆ドル(約130兆円)相当の取引を監視しており、政府や民間企業がパブリックブロックチェーンにおける不正な暗号資産の流れを追跡することを支援している。

同社の顧客基盤は75%増加して750社にのぼり、10万ドル(約1300万円)以上を支払う大規模顧客も増えているという。現在、世界70カ国に拠点を持ち、アメリカ以外の地域での投資を強化する意向だ。

「世界的な拡大が当社の原動力の1つ」と同社CEOのマイケル・グロナガー(Michael Gronager)氏は語った。グロナガー氏によると、同社はヨーロッパ、アジア太平洋地域、南米など、特に成長が見込める地域において「継続的に投資を強化している」。

幹部クラス人材を積極採用

これらはすべて、顧客が監視し、ラベル付けし、追跡しなければならない「暗号資産のユースケース」の急増に対応した結果。現在、社員は700人、その半数以上は昨年入社している。同社は、関連分野の著名企業の幹部クラスを積極的に採用している。

チェイナリシスの業績は、暗号資産の短期的な価格変動にあまり左右されない。犯罪者は、市場が上昇しても下降しても犯罪に手を染める。そして、政府や企業は犯罪に備えてお金を費やすことになる。

グロナガー氏は、現状の市場動向を懸念していないと述べた。ステーブルコイン、NFT、レイヤー2プロダクトなどが開発されるのは、今後の静かな横ばい相場の時期だという。

「優れたものが数多く開発される」と同氏は述べた。そして、新しいさまざまなプロダクトが登場すれば、監視し、追跡すべきものが新たに生まれることになる。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:チェイナリシスの共同創業者ジョナサン・レビン氏(CoinDesk archives)
|原文:Chainalysis Raises $170M at $8.6B Valuation