NFT犯罪は割に合わない:チェイナリシス

ブームとなっているNFT(ノンファンジブル・トークン)市場は、一攫千金を狙う犯罪者には魅力的に思えるかもしれない。だがチェイナリシス(Chainalysis)のリサーチによると、NFT犯罪は他のタイプの暗号資産犯罪に比べると儲けが少なく、難しいようだ。

チェイナリシスは2日、イーサリアムのNFTエコシステムで発生する2タイプのNFT犯罪、ウォッシュトレード(仮装売買)とマネーロンダリングについてのレポートを発表した。

NFTは昨年、爆発的な人気となった。チェイナリシスによると2021年、NFT関連のスマートコントラクトに送られた暗号資産は442億ドル(約5兆1000億円)にのぼった。2020年はわずか1億600万ドルだった。

一方で、暗号資産市場の成長に伴い、ランサムウェア攻撃や詐欺など、暗号資産関連の犯罪も増加している。

2021年、暗号資産関連の犯罪は140億ドル(約1兆6000億円)と過去最高を記録、またDeFi(分散型金融)のような新しい分野での犯罪が増加している。だがNFTを狙った犯罪者は、予想以上に手ごわいと感じるだろう。

「NFT関連の犯罪は良いアイデアではない。お金がかかる」とチェイナリシスのリサーチ責任者キム・グラウアー(Kim Grauer)氏は語った。

「ウォッシュトレード(仮装売買)で利益が出るという保証はないし、NFTをマネーロンダリングに使おうとしても、追跡が可能で、保有者がわかる。NFTは犯罪に向いている場所ではない」(グラウアー氏)

ウォッシュトレード(同じ資産を売買して人為的に取引高を増やし、資産価格を操作すること)は、LooksRareなどのNFTマーケットプレイスで広がっている。

チェイナリシスは、262人のトレーダーが自分の作ったアドレスに25回以上、NFTを販売していることを突き止めた。25回以上は、チェイナリシスがウォッシュトレードの可能性が高いとしている基準だ。だが取引手数料がかかり、実際には買い手を見つけることができず、半数以上が損失を出しているという。

ウォッシュトレードに成功すれば、利益をあげることができる。チェイナリシスが調査した110人のトレーダーは昨年、890万ドル(約10億1000万円)を手に入れた。

NFTマーケットプレイスを使ったマネーロンダリングも2021年に増加し、不正な活動に関連するウォレットアドレスから240万ドル(約2億7000万円)が送金された。とはいえ、チェイナリシスが2021年に追跡した暗号資産を使ったマネーロンダリングの総額86億ドル(9800億円)から見れば、ごく一部に過ぎない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk archives
|原文:New Chainalysis Report Suggests NFT Crime Doesn’t (Always) Pay