2022年と2018年はどう違う?──イノベーションの耐久力【オピニオン】

2022年と2018年はどう違う?──イノベーションの耐久力【オピニオン】

今の状況には見覚えがある。おそらくあなたもそうだろう。しかし、今回が初めてだったとしても心配はいらない。

こうしたことは、また起こる。それが世の常だ。

暗号資産(仮想通貨)市場には、ミームの権力者、荒らし行為、心理戦、インターネットカルチャー、猿のNFTがある。昔から、フラッグ、ストーリー、ユニフォームがあった。

ウェブ3の主張やユニフォームは特別でユニークだが、ウォール街の人たちが1987年のブラックマンデーに着ていたスーツとネクタイも同じ。インターネットの初期にテック系の人たちが着ていたTシャツも同じだ。

だが、創造的破壊が人々の生活に悲劇をもたらすなかでさえ、学ぶべきことはある。私も含めたすべての人が、何が起こったのかについて、ストーリーとその理由を作り出すだろう。

ステーブルコインやシャドーバンキング、ヘッジファンドが消費者からすべてを奪うことで、規制を求める声はもちろん、これまでになく強くなる。脇に追いやられた資本を活用しようとする人たちから、再建を求める声も強まるはずだ。

シャドーバンキング:影の銀行。証券会社やヘッジファンド、その他の金融会社など、銀行以外が行う金融仲介業務のこと。2008年金融危機の原因の1つとされている。

そして落ち着きが戻ると退屈になり、過去を忘れて、また繰り返す。個人は1つの細胞であり、群衆は超個体(多数の個体から形成され、まるで一つの個体であるかのように振る舞う生物の集団)だ。

自分がその一部となっている集合体に抵抗するために、個人ができることは少ない。そもそも、抵抗すべき明確な証拠はない。

産業革命の頃、人間社会のあり方を変容させる、テクノロジーの恒久的な変化に直面するなかで、その正しさが証明されたラッダイト(機械化に反対する熟練労働者)はいなかった。しかし彼らはそれで幸せだったのだろう。

明るい側面

希望の光が見たければ、注目すべきは以下だ。すなわち、大損失の混乱の中にクリエイティビティやイノベーションがあるか? 繰り返し行われる金融操作ではなく、基盤となる経済の仕組みは機能していて、アーキテクチャーに進歩はあるか?

ここに今と、2018年のICO(新規コイン公開)バブル崩壊との大きな違いがある。当時はアーリーステージ・ベンチャーのプレゼン資料に多額の資金が集まった。紙の上に並んだ約束のために何十億ドルもの資金が調達されたが、実際に構築されたり、ユーザーに提供されることはなかった。トークンを利用した資金調達メカニズムに対する規制圧力が高まり、さまざまなアイデアが消え去った。

資金調達には実体がない。どちらかと言えば、開発前に負う投資家に対する責任だ。さらにウェブ3エコノミーについては、ほとんどなにもなかった。DAO(自律分散型組織)を組織化する方法や、NFTを使った実験についてのアイデアはあったが、アーティストのように生計を立てている人はいなかった。

むしろ私が思い出したのは、2008年にリーマン・ブラザーズに在席していたときのことだ。ベアー・スターンズが破綻して買収される様子を見て、次はどこ? リーマン? モルガン・スタンレー?と見守っていた。

今回は違う会社が話題だ。セルシウス? スリー・アローズ・キャピタル? あるいは少し前に戻って、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント?

リーマン・ブラザーズの破綻は、モラルハザードの神へのいけにえだった。あらゆる投資銀行が同じリスクに直面していた。

イノベーションの耐久力

2022年の暗号資産市場の低迷は、イノベーティブなテクノロジーが約束を果たせなかったというよりも、暗号資産全体での従来のレバレッジ解消のようなものだ。「銀行の取り付け騒ぎ」や「支払い不能」など、機能しているが過熱した金融業界に使われるものと同じ言葉が使われている。

さらに暗号資産はマクロ経済全体と従来よりもはるかに強い相関関係を持ち、一体化されているため、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げと、それによって生まれたリスクオフ環境が、2018年にはなかった形で影響を与えている。逆に言えば、我々は機関投資家に影響するレベルにまでたどり着いた。

決して、ウェブ3が完璧に機能しているとか、完全にメインストリームになったと言っているわけではない。グローバルな経済構造が引き起こす、システミックな金融危機について指摘している。

暗号資産の世界には「ラグプル(資金の持ち逃げ)」や詐欺を行う不誠実な人たちや、ハッカーや泥棒がいる。価格の暴落は、彼らのペテンを明らかにしており、長期的にはチャートの動きの目印になる以外の役目はなくなるだろう。

しかし、ウェブ3で開発しているマシンやロボットは、TVL(Total Value Looked:預かり資産)が暴落しても機能している。リーマン・ブラザーズやエンロンなどの中央集権型企業の場合は、そうではなかった。しかもそうした企業の破綻処理と清算には何年もかかった。

金融の転換期を生き残る企業、人、DAOは、メンタルモデルを変えている。資産をすべて、独自トークンで保有するべきではない。皆が興奮状態にあるときこそ、リスクマネジメントが重要だ。企業価値額の大きさは、ファンダメンタルズではない。レバレッジは、変化をどちらの方向にも加速させる。

こうしたことは、言うのは簡単だが、実際に理解して行動に移すことは難しい。現状を考えると、私たちには適応するしか選択肢がないのはありがたいことだ。

レックス・ソコリン(Lex Sokolin):CoinDeskのコラムニストで、ニューヨーク州ブルックリンにあるブロックチェーンソフトウェア企業、コンセンシス(ConsenSys)のグローバル・フィンテック担当共同責任者。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:How 2022 Differs From 2018

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