「暗号資産の冬」の明るい側面とは【オピニオン】

「暗号資産の冬」の明るい側面とは【オピニオン】

盛況に終わった米CoinDesk主催の「コンセンサス 2022(Consensus 2022)」で示された将来の展望が、弱気相場を耐え忍ぶ助けとなりますように。

米CoinDeskでは、激動の1週間となった。日曜日に閉幕したコンセンサス 2022では、組織として大成功を収めた。暗号資産(仮想通貨)に対する関心がどれほど強く、広範なものかを証明する熱狂的な4日間となったのだ。

一方で、コンセンサス終了後からわずか2日間で、暗号資産市場では信じられないような暴落が続いた。ビットコイン(BTC)もイーサ(ETH)も、2日で約20%値下がりしたのだ。

中央集権型レンディングプラットフォーム、セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)では今、流動性危機の兆候が見られ、もしかしたら破綻の可能性もある。テラネットワークのLUNAとUSTの暴落に次ぐ、「ダメ押し」かのようだ。

セルシウスの抱える問題を受けて、トレーダーたちは今度は、イーサリアム2.0への移行に関連する大切なトークン「stETH」を心配し始めた。スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)でも流動性の問題が発生しているようで、さらに、暗号資産取引所コインベースは1100人を解雇した。

現状について語ることは多くあり、CoinDeskではこの先、今回の危機的状況を乗り切るのに役出す情報を伝えていく。

しかし、大規模にドミノ倒しが起こり始まる前、私はこの記事でコンセンサス 2022の素晴らしさを語る予定だった。そして今でも、そのことは大切だと感じている。テキサス州オースティンで開かれたこのイベントで示された将来の展望や情熱こそが、私たちがこの混沌とした状況から抜け出す道だからだ。

懐の広さ

何よりもコンセンサスは、大規模だった。カンファレンス自体には1万7000人が集まり、関連イベントにはさらに3000人が参加。DisclosureやBig Boiといったミュージシャンによるライブまでついた、暗号資産界のサウス・バイ・サウスウエスト(オースティンで毎年開催される音楽、映画、インタラクティブをテーマにした世界最大級の複合フェスティバル)のようなイベントとなった。

来年もそうなるだろう。

しかし、もっと大切なのは、プログラムや視点の広さが、圧倒的だったこと。例えば、司会を務めるために討論会の会場へ向かう途上、少し時間があったので、近くのホールを覗いてみた。するとそこには、フェイスブックの内部告発者フランシス・ホーゲン氏。データ収集についての懸念という共通項以外には、暗号資産とはほとんど関係がない人だ。

SF作家のニール・スティーヴンスン氏に、コンピューター科学者のジャロン・ラニアー氏が、CoinDeskのコラムニストと討論するところも見れた。ベイラー大学のビットコイン研究者をインタビューすることもできたし、ミームに関するユーチューブチャンネル「MemeAnalysis」を手がけるクリス・ガブリエル(Chris Gabriel)氏とフロイドや黒魔術、CIAについて率直な会話も楽しめた。

暗号資産は、現状に対する様々な不満のシェリングポイントになりつつあることが、明らかなようだ。シェリングポイントとは大まかに言うと、明確なコミュニケーションや調整抜きで、人々が協調するために集まってくるシンボル、場所、テクノロジー、その他の焦点である。どこに向かっているかは明らかでなくとも、暗号資産は社会の心を捉え、変容的な変化の場となっている。

崩壊?

そしてここに来て、市場の暴落だ。現在職を失っている人、この先失っていく人たちには、同じ経験をした人間として、心から共感する。2018年の市場暴落の結果、私も職を失ったのだ。

しかし、暗号資産の低迷には、大きなプラスもある。失敗に終わりつつあるプロダクト、とりわけLUNAとセルシウスは実質的に、持続不可能な大きなリターンが引き起こす幻想だったのだ。

これらのシステムに預け入れをした人たちが受けた「利益」は、ベンチャーキャピタルのマネーを使った椅子取りゲームのようなものであったことが、今では明らかとなってきている。

私が2021年の上場時に指摘した通り、取引所事業は残酷なほどに周期的なものであるにも関わらず、コインベースはあまりにも急速に採用を進めるという、大きな戦略的ミスを犯した。

そして、極めて影響力のあるベンチャーキャピタル、スリー・アローズ・キャピタルは、市場でも最も投機的でリスクの高いプロジェクトの一部に大いに投資していたようだ。

実はこれらすべて、朗報なのだ。ありふれた言い草なのは分かっているが、それでも真実だ。

浄化

この先数週間、もしかしたら数カ月にわたって、さらなるポジションの解消、引き出しの凍結、奇妙な沈黙が見られるのは間違いない。市場の暴落は、お粗末な判断をした企業や投資家に最も過酷なものとなる。

ここ2年で暗号資産が拡大し、盛り上がりが高まる中、本質的に無価値なプロジェクトが大量に発生し、束の間しか続かないトークンを発行し、情報を持たない個人トレーダーや、有名なベテランヘッジファンドマネージャーに、それに価値があると信じさせた。

そのようなガラクタは、拡大周期のたびに暗号資産に忍び込んできた。現在の低迷は、そのようなガラクタを排除する、聖なる浄化の火である。老齢となった森が時に、再生のために森林火災を必要とするのと同じように。

盛り上がりや、個人崇拝を基盤に作られたガラクタを排除できれば、この先1年ほどは、暗号資産の世界に散らばるマネーは減るかもしれないが、割合としてはより多くが、信頼できるプロジェクトに行くことになる。

資金はある

確かなアイディアをもとに何かを築きたいと考えている人は、このような環境で成功を収められるだろう。とりわけ2018年と違い今回は、かなりのベンチャーキャピタルがいまだに残る可能性が高いからだ。

例えば、2021年にはNFTの売り上げで200億ドルを生み出したオープンシーを見てみよう。2017年に創設され、プロジェクト構築の多くは2018年から2019年にかけて行われた。それは、暗号資産の休閑期であっただけではなく、ほとんどの人がNFTなんて聞いたこともなかった頃なのだ。

次なるオープンシー、次なるイーサリアム・ネーム・サービス(ENS)、その他本当に有益で収益性のあるサービスやテクノロジーが、この先の弱気相場(「暗号資産の冬」と認めよう)の中で開発されていくはずだ。生き残る、あるいは成功するための最善の道は、開発を行い、次なる大きな好調時にその成果を手にすることだ。

そして常に、低調時は思っているほど長く続かないことも忘れないように。私自身の経験を話せば、2018年に暗号資産関連の職を失って、再び暗号資産の世界に帰ってくるのに2年もかからなかった。そして今、かつてより楽しく仕事ができているのだ。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Winter Is Here. The Weak Will Die, and the Strong Will Eat Their Bones

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