リブラ、完全に幕引き──メタ、デジタルウォレット「ノビ」終了へ

メタ(Meta:旧フェイスブック) は9月1日にデジタルウォレット「ノビ(Novi)」を終了させる。2019年6月、グローバルステーブルコイン「リブラ(Libra)」という野心的な構想を発表してから3年、厳しい批判にさらされたプロジェクトはついに消え去ることになる。

同社はユーザーに「可能な限り早く」プラットフォームからお金を引き出すよう促している。7月21日以降、口座をお金を追加することはできなくなり、9月1日にサービスが終了すると、取引履歴などのデータにもアクセスできなくなる。

ノビは当初、「カリブラ(Calibra)」と呼ばれていた。リブラ向けウォレットとして開発が進められたが、規制の圧力でリブラは方針転換を強いられ、名称も「ディエム(Diem)」に変更。ノビの役割も変化した。ノビは2020年、暗号資産を使った送金の実験的プロジェクトとなったが、アメリカとグアテマラに限られていた。

メタはノビの運用中止を決めたが、メタバース構想など、将来のプロダクトにその技術を再利用する計画があると述べている。

「我々はすでに、数年費やしてきたブロックチェーン上での機能開発を活用し、デジタルコレクティブルズのような新しいプロダクトの導入に活用している。Web3での我々の取り組みに期待してほしい。我々はこれらのテクノロジーがメタバースの中で人々や企業にもたらす価値についてきわめて楽観的に考えている」とメタは声明で述べた。

暫定的に、メタはフェイスブックへのNFT導入のテストを開始している。

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ノビの責任者デビッド・マーカス(David Marcus)氏は2021年にメタを退社。2022年1月にはディエムの技術資産をシルバーゲート・キャピタル(Silvergate Capital)に2億ドルで売却している。

野心的なプロジェクトだった「リブラ」の完全な幕引きは、暗号資産価格の大幅な下落、大手企業のレイオフ、セルシウスやボイジャー・デジタルなどの財務危機、さらにはスリー・アローズ・キャピタルの破産申請といった、業界の厳しい状況をさらに浮き彫りにするものになった。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:米下院金融サービス委員会
|原文:Meta to Shutter Novi Crypto Payments Wallet in September, Ending Libra Saga