元アラメダ・リサーチのCEO、キャメロン・エリソン氏とは?──バンクマン-フリード氏のMITの同級生、両親はMIT教授と講師
  • アラメダ・リサーチの元CEO
  • サム・バンクマン-フリード氏のマサチューセッツ工科大学(MIT)の同級生
  • クオンツ・トレーディング企業ジェーン・ストリート(Jane Street)の元同僚

アラメダ・リサーチの元CEO、キャロライン・エリソン(Caroline Ellison)氏は、キャリアのすべてをトレーダーとして過ごしてきた。スタンフォードで数学を専攻していた大学3年生のとき、エリソン氏は、アルゴリズムを活用することで知られたヘッジファンド、ジェーン・ストリート(Jane Street)でインターンシップを経験し、優秀な成績を残した。そして、1年間の修士過程を先延ばしにして、同社に入社した。

「トレーディングに秀でることができた」とエリソン氏は2021年、アラメダのポッドキャストで語っている。だが暗号資産について懐疑的だった彼女はその後、自身が大きな影響力を誇る暗号資産ヘッジファンドを率いることになるとは思っていなかっただろう。

ジューン・ストリートで株式取引を1年半経験した後、エリソン氏は同社の同僚だったサム・バンクマン-フリード氏とベイエリアでコーヒーを飲み、アラメダに移籍した。エリソン氏によると、バンクマン-フリード氏は当初、アラメダの事業内容について口を閉ざしていた。移籍した時、「多くのアラメダのトレーダーよりも経験が豊富」だったと彼女は語っている。

トレーディングは「小学校の算数」と度胸

アラメダは創業当初、流動性の低いアルトコインのマーケットメーカーだった。業界に対して、マーケットニュートラルなアプローチをとっていたが、やがて暗号資産により積極的に参加するようになり、特定の暗号資産に強気/弱気のレバレッジを掛けて投資することが多くなった。これにはDeFi(分散型金融)プロトコルのイールドファーミングも含まれたという。

彼女は2022年の「DeFiサマー」まで、イーサリアムのウォレット「メタマスク(MetaMask)」を使ったことはなかったという。

詳細はまだ不明だが、暗号資産テラ(LUNA)のバブルが崩壊した後、バンクマン-フリード氏の暗号資産帝国で先に亀裂が入ったのはアラメダだったようだ。

5月25日、エリソン氏はスペイン語のポッドキャスト「El Momento」のインタビューで、トレーディングの多くは「小学校の算数」と度胸を頼りにしていたと語り、今では不評を買っている。

バンクマン-フリード氏と恋愛関係にも

2021年10月、バンクマン-フリード氏がFTXとの距離を取るために、アラメダ・リサーチCEOを退任した後、エリソン氏はサム・トラブッコ(Sam Trabucco)氏とともにアラメダの共同CEOに就任した。彼女は自身の役割について「幅広い」と表現している。8月、エリソン氏はトラブッコ氏の退任により、単独CEOとなった。

FTXとアラメダの多くの人たちと同様に、エリソン氏も「効果的利他主義者」、つまりお金を稼ぎ、合理的な思考に基づいて使うことによって、自分たちがなし得る善を最大化しようとしている。Web メディアのFuturismによると、エリソン氏はポリアモリー(交際相手を1人に限定しない恋愛)や人種科学など、カリフォルニアの合理主義者コミュニティで人気の話題をカバーするブログ「World Optimization」の運営者と考えられている。

エリソン氏は他の9人のFTXまたはアラメダの同僚たちと、バハマにあるバンクマン-フリード氏の3000万ドル(約42億円)のペントハウスに住んでいた。同氏に家賃を支払い、ときおり恋愛関係にもなっていたと報じられている。

「若者はリスクを避けすぎる傾向がある」とエリソン氏は最近、アラメダのポッドキャストで語った。

両親はMIT経済学部の教授と講師

11月初め、CoinDeskはアラメダの資産の多くが流動性の低いアルトコイン、特にFTXの取引所トークン「FTXトークン(FTT)」で占められており、構造的に債務超過だと伝えた。

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その後、ウォールストリート・ジャーナルは、エリソン氏がアラメダのスタッフに対して、自身はFTXの顧客資金をアラメダに送り、負債を埋めるという判断を知っていた4人のうちの1人だったとビデオ通話で語ったと伝えた。

エリソン氏は子供の頃からハリー・ポッターシリーズのファンで、自由な時間にはLARP(Live Action Role Playing Game:現実世界でキャラクターに扮してRPGを行うこと。ライブRPGとも呼ばれる)のテーマにした執筆活動を行っている。小説の執筆に取り組んでいると伝えられたこともある。

また興味深いことに、エリソン氏の父親のグレン・エリソン(Glenn Ellison)氏は、マサチューセッツ工科大学の経済学教授で、同学部で要職を務めている。母親のサラ・フィッシャー・エリソン(Sara Fischer Ellison)氏も同大学の経済学部の講師だ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Twitter/@carolinecapital)Research
|原文:Who Is Alameda Research’s Caroline Ellison?