中央集権型取引所、FTX崩壊後も取引高の大部分を占め続ける:JPモルガン

中央集権型取引所は、暗号資産(仮想通貨)取引高の大部分を占め続けるとJPモルガン・チェースは指摘。FTX崩壊を受けてDEX(分散型取引所)への移行が進むと予想する一部の暗号資産専門家と逆の意見を述べた。

取引速度の遅さ、資産のプール、注文のトレーサビリティ機能は、DEXの機関投資家への普及を妨げる可能性が高いと同行のストラテジストは11月24日の顧客向け文書に記した。

アナリストはまた、DEXには指値注文(リミットオーダー)/逆指値注文(ストップロスオーダー)機能がないこと、中央集権型取引所からデータを入手する価格オラクルに依存していること、ハッキングに対する脆弱性、過剰担保の必要性、自動清算の連鎖がもたらすシステミックリスクなどを広範な普及を妨げる要因としてあげた。

「DeFi(分散型金融)では、資産の貸し借り、担保の計上、利回りの支払いについて異なるトークンを使用し、一般的に指値注文/逆指値注文の機能がないことから、リスク/リターンのトレードオフ評価が難しい。セキュリティと中央集権化ついて大きく妥協することなく、DeFiプロトコルをマネジメント、ガバナンス、監査することは大きな課題」(JPモルガン)

DEXの取引高増加

サム・バンクマン-フリード氏が率いる中央集権型取引所のFTXが破綻して以来、DEXの活動は活発化しており、DefiLlamaによると、11月の取引高は10月から68%増の972億2000万ドル(約13兆5000億円)に達している。これは5月以来の高水準。

多くの専門家はこれを、中央集権型取引所に対する信頼が薄れ、DEXへの長期的シフトが始まるサインと考えている。

「FTX崩壊を受けて、(中央集権型取引所に対する)ユーザーの信頼は揺らぎ、DEXが崩壊の影響に対して回復力を示したことから、今後数カ月で市場参加者の間でDEXの普及が進むと予想している」とCryptoCompareは11月23日に発表したレポートで述べた。

だがDEXの取引高が増加していることは認めつつも、JPモルガンは大規模な長期トレンドの始まりとは考えていない。

「この数週間、暗号資産取引におけるDEXのシェアはある程度増加しているが、これは暗号資産価格の下落、およびFTX崩壊に続くデレバレッジ/自動清算を反映している可能性が高い」とJPモルガンは述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Centralized Crypto Exchanges Will Remain Dominant Despite FTX Collapse: JPMorgan